きょうの NHK の番組,視点・論点 「酔眼ながめて格差知る」 では,武蔵大学の 橋本 健二 が飲酒の格差問題について論じていた. すなわち,20 年前には飲酒の習慣が収入にあまり依存していなかったのが,現在では高収入のひとがさまざまな種類の酒をのむのに対して,低収入のひとは酒をたのしむことができなくなったということである. 格差のために酒をのみにいったり買ったりする余裕がなくなったという指摘なのだが,それはほんとうだろうか? 統計をもとにしてみちびかれた結論だが,統計のよみかたがまちがっているのではないかとおもう.
最近の若者はビールをこのまなくなったといわれている. それだけでなく,酒をのむ習慣そのものがすたれてきたのではないだろうか? 酒に執着しなくなれば,収入がへったぶん,酒を買わないようになるのは当然だろう. 貧乏の憂さを酒ではらしたむかしとはちがってきているのではないか.
20 年以上まえには,ひとづきあいには酒が欠かせないようなところがあった. しかし,現在では,すくなくとも若者に関してはそうでなくなっているようにおもう. ひとづきあいそのものが以前より希薄になって,それがギスギスした人間関係につながっているのだとすれば問題だが,かならずしもそうはいえないようにおもえる. つまり,酒がなくてもつきあえるようになったようにおもえる.
まとめると,私の感触では,ニートやフリーターがおおい低収入層においては,ビールをこのまなくなり,酒を必要としなくなったから,飲み屋にもいかなくなったし,家でものまなくなったのだとおもう. とはいえ,このかんがえを証明できる根拠をもっているわけではない.