現代においては,コミュニケーション,決済・金融をはじめ,おおくの社会システムがコンピュータなしにはなりたたなくなっている. そして,コンピュータがつかわれるゆえに,そのセキュリティ上の弱点をつく犯罪行為が頻繁におこなわれる. したがって,そうしたシステムにはセキュリティをまもるためのしかけが必須になっている.
ところが,そういうセキュリティをまもるためのアーキテクチャは,一般人には理解しにくいものである. そのため,東 浩紀 らが指摘しているように (たとえば 東 浩紀,大澤 眞幸 共著 「自由を考える」 (NHK 出版)),それは社会におおきな影響をあたえるにもかかわらず,社会的に十分な検討をへないまま,情報処理技術者らの手によってつくられている.
セキュリティ技術の未熟さもあって,こうしたアーキテクチャはかならずしも一般人にとって,というよりも人間にとってわかりやすいかたちにつくられているわけではない. しかし,それによって透明さがうしなわれ,専門家の手を借りなければあつかえないものになってしまう. 透明性を確保し,一般人が議論の対象にできるようなアーキテクチャをつくる必要があるだろう.
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