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歴史:戦争, 未整理

日本や中国,韓国などの歴史の再評価や今後の日本の指針において貴重な資料 ― コリン・ロス 著 「日中戦争見聞記 ― 1939 年のアジア」

著者は 1939 年の極東を取材し,日本,韓国,「満州国」,中国の様子をえがいている. 著者は 「「東亜新秩序」という日本の目標を単に軍事的にのみ費用化するならば,日本の目標をまったく誤解し,過小評価することになる」 というように,日本の政策を評価している. そして,日本人が朝鮮人の生活水準を向上させ 「多くを成し遂げた」 こと,また 「満州国」 において,工業的におどろくべき発展をみたことなど,日本の支配下でこれらの地域が発展したことを指摘している. また,「満州国」 の首都である新京において,満州の潤沢な資源をつかうことによって,日本がギリシャ風,中国風,西洋風など,さまざまな様式の建築をたてていることをいささかの建築の知識をもって語っている.

しかし,こうした日本の 「功」 についてのべるだけでなく,「罪」 の部分についても,するどく書いている. 著者自身が国民党政府がある重慶において日本軍による爆撃でひどいめにあわされているが,重慶市民がさんざんな目にあわされてきたことをえがいている. また,「日本人は何事も決定できず常にすべてをしかも同時に望んでいる [中略] こうした欠点があるがために,終局的に成果をあげつつ日中戦争を終らせることにこれまで失敗してきた」,「日本の経済危機の本来の理由は,日本人がもろもろの根本的決意,決定を,最後の瞬間まで回避していることである」,「日本人はまったく宣伝が下手であり,たとえ彼らに言い分があっても,全世界は信じようとしない」 ことなど,日本人の資質についても,するどく分析している.

ほかにも,イギリスについては中国において失策をおかしたことや日本をあなどっていたこと,中国については 「以前は,中国はひとつの国土であると解釈されていたが,今日では大陸の意味に用いられている [つまり,中華民国政府が支配しているのでないこと]」,日本がヨーロッパの文化をうまく日本の伝統と調和させたのに対して,孫文や蒋介石がそれを無条件に導入しようとした [ために失敗した] ことを指摘している.

この本は,日本や中国,韓国などの歴史を再評価するうえで貴重な資料であるとともに,現在の日本人や日本の政治の弱点にもつながる指摘は今後の日本に関しても指針をあたえてくれるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日中戦争見聞記@ [bk1]日中戦争見聞記@Amazon.co.jp

注記: BK1書評Amazon.co.jp書評 に投稿しています.

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