11 月 10 日の NHK スペシャルでは,「デジタルネイティブ ~次代を変える若者たち~」 が放送された. もっともおおくの時間をさいていたのは,アメリカの 14 歳の少年,アンシュール・サマー (Anshul Samar) が自分でアイデアをあたためたゲームの仕事をネットで世界各地のひとに発注し,すでに 1000 万円をうりあげたという話である. 親がきいてもわからない方法で開発したということが注目されていたが,おどろくべきことはむしろ,その事業センスと,リアルな世界でもおとなと対等に議論しているところだとおもう.
おさないころからインターネットを水や空気のようにつかってきたひとを 「デジタルネイティブ」 という. アンシュールは 1 年間の時間をかけてゲームのアイデアをあたため,その絵をえがいたりマニュアルをつくったりする仕事を SNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービス) をつかって各地のひとに発注したという. そうやってつくったゲームをいま,妹がネットで売っている. そういうやりかたをまわりのひとたちはしらなかったし,説明されてもわからなかったという.
しかし,インターネットをよく知っていれば仕事をインターネットをつかって発注できることは常識であり,そのことをこどもが知っていたとしてもとくに不思議なことではない. それよりも,自分のアイデアを時間をかけてねりあげ事業として成功させたことのほうがおどろくべきことだとおもえる. そして,相手がだれであれ,自分のかんがえをはっきり率直につたえることができる,そしてさらに,それが傾聴するに値するものであること.
番組では,デジタルネイティブの特徴のひとつはヴァーチャルとリアルとをくべつしないところだといっていた. この少年もネットだから相手がおとなでも対等にやりあえるというのではなく,おおきな (リアルの) 会議に参加したときでも,客席から堂々と発言する様子がうつされていた. こういう態度はデジタルネイティブだからというよりは,むしろアメリカの教育によってそだてられたのではないだろうか. おなじデジタルネイティブでも,アジアやヨーロッパからはうまれにくい存在なのではないだろうか. (写真は NHK スペシャルのページから借用しました.)
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