医者や医療関係者に罵詈雑言をあびせたり特定の治療法を強迫したりする患者つまりモンスター・ペイシェントがこの本のタイトルになっている. しかし,この本がカバーしている範囲はそれにとどまらず,ちょっとしたミスで医者が逮捕されるようになってリスクのたかい検査や治療をさける傾向がでてきていること,医者が信じられずに病院を転々とする患者,医者の過酷な労働など,さまざまな問題がとりあげられている.
医療制度改革に関しては,新自由主義的な改革によってイギリスやアメリカの医療が悲惨な状態になっていること,日本でも小泉改革によって上記のような危機的な状況がもたらされたという. このまま 「小さな政府」 や民営化の政策がつづけられると事態はどんどん悪化していくと著者は主張している. 医療再生のための提案もしているが,十分な内容だとはおもえない.
解決への道はとおいようにおもえるが,意外なことに著者は 「光はうっすら見えています」 と書いている. まず,おおくのひとが実態を理解し,解決にむけた努力をかさねることが必要だろう.
評価: ★★★☆☆
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キーワード: 民営化