2004 年でサービス終了してしまったが,それまで 「ネットで百科」 では 「軸づけ検索」 という発見的な検索法をためすことができた. その機能をつかってチーズが世界のどこでつくられ,たべられているかを知る検索をいまも工学院大学の講義で例としてつかっているので,それをここで紹介したい.
チーズの情報を世界の地域ごとにみたいとしよう. 世界大百科事典にはもちろん 「チーズ」 という項目があり,そこには世界のさまざまなチーズのことが書いてあるが,地域ごとにまとめられているわけではないし,そこには書いてないがほかの項目には書いてあることもおおい. 地域を軸として検索することによって,そういう,さまざまな項目のなかに埋没している情報をひろいだして整理することができる.
この検索のためには,「テーマ地名検索」 のインタフェース (アプリケーション) を起動して,「地域設定」 で 「世界」 を選択する. 世界大百科事典は日本の百科事典であるから,日本とそれ以外とでは知識の詳細さがちがっている. そのため,日本と世界とはわけて検索するようになっている. 検索語 「チーズ」 を入力して検索すると,下図のような結果がえられる.
つまり,チーズに関する情報が表のかたちで地域ごとに整列される. 表をひろげてみると,イタリアに関する項目がおおいことがわかる. スイギュウがしばしば登場しているのがわかる.
そこで,ナポリに関して詳細表示をしてみる. 項目名をクリックすると 「スイギュウ」 という項目がひらき,「ナポリ」 が出現する部分をみることができる. これによって,モツァレラ・チーズが (もともと) スイギュウの乳からつくられたこと,それがナポリなど,イタリア各地でつくられていることがわかる. また,地球マーク (表の左端の円) をクリックすると,ナポリ周辺の地図をひらくことができる.
「テーマ地名検索」 においてはこのように結果は表のかたちでえられるが,もともと,地域を軸とする検索においてはまず地図を表示し,そのうえに検索結果項目の要約を表示することをかんがえていた. この方針にしたがったプロトタイプをつくったこともあるが,地図上に検索結果をうまく表示するのはむずかしいので,ここにしめしたような表のかたちで表示するようになったのである.
[注意] 「ネットで百科」 は日立デジタル平凡社において開発されましたが,現在,そのコンテンツに関する権利は日立システムアンドサービスに属します.