ハプティクス (触覚学) の重要な応用は遠隔手術だとかんがえられている. たしかに,遠隔手術が可能になれば,これまでできなかったことがいろいろ可能になるだろう. しかし,今後も大多数の手術は病院で,その病院の医師によっておこなわれるだろう. したがって,そういう状況でつかえる技術のほうがより重要だとかんがえられる. 内視鏡や腹腔鏡をつかった手術は,すぐそこに患部がありながら,さわれない. そこにハプティクスを応用するほうがより重要だとおもえる.
内視鏡や腹腔鏡をつかった手術は開腹手術よりむずかしいという. それは,直接みることも,さわることもできない状態で手術をしなければならないからだ. しかし,開腹手術とくらべると患者の負担はすくなくなる.
みることに関しては,現在でも,3 次元画像ではないものの,鮮明な画像をみることができるようになっている. しかし,ハプティクスはまだひろくつかわれるようにはなっていない. 指先で患部にふれ,複数の指をつかって作業できるようになれば,もっと容易に手術できるようになるのではないだろうか.
実際の手とおなじおおきさのものは患部ちかくまでいれられないだろうが,スケールダウンすればよい. ミクロの決死圏という映画 (写真) では,ちいさくなった人間が人間の内部で作業するが,まさにこういう感じで手術ができるようになるのではないだろうか. しかも,スケールは自由にかえることができる.
視覚,触覚だけでなく,指先でさわるときは温感,冷感もつたえるとよいだろう. また,嗅覚もやくにたつかもしれない. ただ,現在の技術では嗅覚まで再生することはできないだろう.