著者は,かつては 「まじめな国民」 だった日本人が,働きすぎはカッコわるいとか,ガリ勉はよくないといったかんがえがひろがって,ふまじめになってしまったという. 「ふまじめ」 の例としてマンションの耐震強度偽装事件や食品偽装事件などがあげられている.
しかし,こういう事件や著者の印象をあげられても,日本人がふまじめになったのかどうか,容易にわからないだろう. 耐震強度偽装事件の容疑者はコストカットのきびしい要求にある意味で 「まじめに」 こたえようとした結果として事件をおこしたようにもおもえる. これらの変化は日本人の気質が変化したためにおこったのではなくて,「まじめ」 な日本人を追いつめる経済・社会の状況からうまれているのではないだろうか.
実際,著者も日本人にウソつきがふえたように感じるが,その原因はウソがばれやすくなったから (であって 「まじめの崩壊」 が主因ではない) だとみとめている. また,耐震強度偽装事件に関しても,インチキはむかしからおこなわれていたことをみとめている. 拝金主義や医療崩壊についてもふれているが,いずれも納得できる議論ではない. エピソードとしてはいろいろおもしろい内容をふくんではいるが,砂上の楼閣といってよいだろう.
評価: ★☆☆☆☆
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