著者は,日本の環境政策のおくれた部分を批判し,非正規労働者と過酷な労働を増加させセイフティネットを崩壊させた政策を批判し,「名ばかりの」 男女平等を批判し,日の丸・君が代を押しつけて教育の多様性をみとめない政策を批判し,立法・行政の監視機能をうしなった司法を批判している. そして,こうした後進性をなくして真の先進国になるための提案をしている.
批判されている点にはもっともなところが多い. しかし,批判のために都合のよい材料だけをあつめている印象だ. さらに,議論は極端にはしり,「天皇制は,廃されるべき」 というような,多数の日本人にはうけいれられないであろうことを断定している. また,「数字の三桁打点に至っては,むしろ数字を読めなくする悪意だと言わざるをえない」 というのも,妥当性を欠く議論だろう (四桁打点の習慣があるわけではないのだから).
著者は急進的な議論をしている反面,「先進国」 であるかどうかを問題にしている. しかし,そもそも 「先進国」 という概念じたいが,みなおすべき時期にきているのではないだろうか. 本書の議論はそういう根本的な部分にきりこむものではない.
評価: ★★☆☆☆
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