最近,鳩山総務大臣はことあるごとに日本郵政バッシングに走っている. まずオリックスへの 「かんぽの宿」 の一括売却をやめさせた. そして今度は東京中央郵便局のたてかえにイチャモンをつけている. つぎつぎに日本郵政に難題をつきつけて,西山社長を追いつめ,小泉改革をダメにしようという魂胆だ. たてかえ問題では世論にきいてみたいなどといっているが,だまされてはいけない.
「かんぽの宿」 に関しては,たしかに売却価格の根拠がわからない,安すぎるようにみえるのはたしかだ. しかし,赤字をだしている施設がおおい 「かんぽの宿」 を評価しなおしたとして,はたしてどれだけ高い値段がつけられるだろうか. バラして売った結果としてお荷物がのこってしまったのではどうしようもない. とはいえ,この問題に関してはもはや,なりゆきをみるしかないだろう.
それに対して東京中央郵便局のたてかえ問題は現在,進行中だ. 重要文化財だった東京中央郵便局が,概観は保存するものの,たてかえによって重要文化財ではなくなる可能性がたかいようだ. しかし,この建物が現状のまま保存されたとして,どれだけのひとがそれをよろこぶだろうか? 重要文化財だったことを知らないひとのほうがおおいのではないだろうか?
東京駅前を有効に利用できるかどうかは日本郵政にとっては死活問題だといっても過言ではないだろう. それをじゃまする鳩山総務大臣の魂胆はみえすいている. 日本郵政が痛手をうければ,小泉改革がダメにされるだけでなく,構造改革そのものが痛手をうける. 国民はきっとそんなことにはにだまされないだろう.
「新自由主義」 が敗北におわったとしても,それは社会や経済がおおきくかわるなかでの構造改革の必要性がなくなることを意味するわけではまったくない. 小泉改革がほんとうに成果をあげるのかどうか,郵政民営化が成功するのかどうかはまだわからない. しかし,それが最善の成果をあげるように環境をととのえていかなければ,成功するものも成功しなくなってしまう.
2008-3-15 追記:
その後,石原都知事が中央郵便局の全面保存への反対を表明した.
しかし,さすがに日本郵政は総務大臣を無視することはできず,保存範囲をひろげて文化庁から重要文化財の指定をうける方向になった.
あらたにたてられるビルの床面積はけずられずにすむようで,比較的かぎられた出費増ですむらしい.
順当なところにおちついたといってよいだろう.
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