裁判員制度に関する本はおおいが,大半は法律の専門家が書いている. この本は理科系的な目からみた貴重なものである. 裁判員制度は市民の常識を裁判にとりいれる目的で導入されるのに,法律家の常識でしきられようとしていることへの疑問,グラフやマルチメディアに関する十分な知識がないままにそれらがとりいれられようとしていることの危険などは,他の本にはほとんど書かれていない貴重な指摘である.
また,法律家をはじめとするさまざまなひとにインタビューするなかで,「公判前整理手続き」 と 「被害者参加制度」 の問題点があきらかにされる. さらに,中坊氏が陪審制を主張したのにそれが裁判官や検察官の利益に反するために現在の制度になったという. いずれにしても,もはやとめられない裁判員制度に関する建設的な内容である.
評価: ★★★★☆
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