20 世紀音楽は作曲や演奏という行為の否定にまでつながったが,おおくの 「作品」 は一般人には縁のないものだった. この本はそういう音楽を作曲家の 「作品」 として,つまり 19 世紀的な見方で紹介している. ヴァーグナーにはじまり,ドゥビュッシー,シェーンベルクなどを経て,20 世紀末までのさまざまな作曲家と作品が 400 ページ以上にわたって,とりあげられる.
こういう古典的な論じ方になった理由のひとつは,作曲や演奏の否定が成功しなかったことにあるのかもしれない. この本をみて,CD やネットからそれらの作品をひろいあげてきくのも,わるくないだろう. しかし,岡田暁生の 「西洋音楽史」 に書かれているように作曲家の時代がとうにおわってしまっている現代においては,いわゆる 「現代音楽」 以前の部分をのぞけば,この本は一般人には無縁の過去の遺物をならべているだけだとおもえる.
評価: ★★★☆☆
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