この本は 「ビエンナーレ」 にかぎらず国際美術展をあつかっている. 日本でひらかれた 「横浜トリエンナーレ」,「越後妻有トリエンナーレ」,「北九州国際ビエンナーレ」 のほか,ブリスベンでひらかれた 「アジア太平洋トリエンナーレ」 などもとりあげられている.
6 人の著者が 1 章ずつ書いているので視点もさまざまだが,従来の美術展のわくをやぶっている部分に注目している点は共通しているのだろう. 「横浜トリエンナーレ」 が従来の美術批評ではうまくあつかえず,市民参加がもとめられているという指摘,ディレクターとなった 川俣 正 が 「横浜トリエンナーレ 2005」 を前回 (2001) とはまったくちがうものにしたこと,「アジア太平洋トリエンナーレ」 でこどもを対象にしたキッズ APT のこころみなど,さまざまなあたらしいこころみがとりあげられている.
「横浜トリエンナーレ」 を見に行くほう (私) もいろいろ,こころみをしているが,(この本の出版後の) 2009 年には家族をつれていくのに失敗する (不同意だった) など,かならずしもうまくいっていない. 開催者もいろいろこころみるなかで,失敗するものもあれば成功する部分もある.それが 「国際美術展」 というものなのだろう.
評価: ★★★☆☆
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