麻生前首相が衆議院を解散せず,首相の座にいすわりつづけたことに関しては,当時から批判されていた. 結果論にはなるが,現在の状況からかんがえると,これは 「麻生の罪」 というほかはない.
麻生前首相が解散をおくらせた結果どうなったか. つぎの 2 点が重要だとおもう.
- 国民への罪: 年度の途中で民主党に政権をゆずることになり,補正予算に関する混乱とむだをまねいた.
- 自民党への罪: 解散をおくらせた結果,自民党支持率はさらに低下し,自民党の大敗につながった.
自民党への罪はともかく,国民への罪について,さらに説明しよう.
総選挙よりかなりまえから,選挙をすれば民主党が勝つということは確実視されていた. にもかかわらず,前首相は本予算を組み,補正予算を組んだ. それには,自民党がかんがえる 「ただしい」 政策が民主党に政権をわたしても遂行されるようにしようという意図があったのだろう. しかし,結果は年度途中での政府方針の大転換につながり,補正予算の執行停止という結果をまねいた.
補正予算のすべてを執行停止してくみかえることができれば,つじつまのあう政策を実行することができただろう. しかし,すでに執行ずみの予算がおおく,民主党の主張からすれば重要でない予算がけずれず,かわりに比較的重要なはずの予算をけずらなければならないはめになっている. 私の周囲でも,科学技術関連予算のなかで,より重要だとかんがえられるのにまだ執行されていなかったためにバッサリけずられてしまった予算と,比較的重要性がうすいとおもわれるのにすでに執行されているためにけずれなかった予算とがある.
こうして補正予算の配分方針はズタズタになり,その効果はうすめられて,ムダがふえてしまったとかんがえられる. 前政権としてはそこまでして民主党が財源を確保しようとすることは想定していなかったということかもしれないが,結果的にみればこうしたムダが生じてしまった. その責任は適切な時期に解散しなかった前首相にあるといわざるをえないだろう.