テレビ,本,携帯電話など,さまざまなメディアにおける議論の問題点を具体例でしめしている. 本としては 「ゲーム脳の恐怖」 がとりあげられ,「論述が誤りを多く含んでいるということと,主張が誤りだということは直結しない」 とことわりながら,そこにふくまれるさまざまな 「虚偽論法」 を分析している. アマゾンにおける批判的な書評も具体例があげられている. 著者にとってみれば格好の材料だったのだろうし,ゲームがすきな多くのひとをよろこばせることになっているようだが,この本からばかり例をあげるのが適切だったのかどうか,疑問を感じる.
携帯電話に関してはペースメーカーなどの医療機器に影響をあたえるかどうかという問題がとりあげられている. 総務省の 「平成 14 年度報告」 がとりあげられて,その 「矛盾」 が指摘されている. しかし,実はここには論理的な矛盾があるわけではなく,「安心」 (引用されたことばとしては 「不安」 の解消) をめざした調査を 「安全」 とよみかえて延々と議論しているのはいささか珍妙だ.
このように疑問点もいろいろあるとはいえ,えるところが多々ある本であることもたしかだ.
評価: ★★★☆☆
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