プリウスのブレーキの 「不具合」 が連日ニュースに登場してくる. トヨタによるとソフトウェアの問題だということだが,バグではないようだ. それにもかかわらず 「不具合」 とよぶことには違和感がある. ところが,「欠陥」 とよぶべきだという意見さえあるようだ.
きょう (2010-2-15) の朝日新聞夕刊に 池上 彰 は朝日新聞の 「「不具合」 という言葉,よく考えると不思議です. 以前なら 「欠陥」 という言葉を使っていたはずです」 と書いている. しかし,以前の 「欠陥」 というのは設計の意図どおりに動作しないことをさしていたのではないだろうか? プリウスのブレーキの 「不具合」 は,意図したものだった. ブレーキを動作をなめらかにするために 0.06 秒おそくきくようにしたという. それによるユーザの反応をみあやまっていたとしても,はたしてそれが 「欠陥」 なのだろうか. むしろ,「不具合」 ですらないようにおもえる.
最近の自動車はソフトウェアで制御する部分がふえている. それによって,ハードウェア制御にくらべると自由度がずっとおおきくなっている. その自由度をいかした設計をしたときに,ユーザの反応をみあやまる危険もふえているのではないだろうか?
おおくの機器においては,それがネットワークにつながっていれば 「不具合」 がファームウェアの更新によって自動的に修正されるようになっている. 自動修正ができないときはユーザが手動で更新することができる. しかし,おおくのユーザは手動更新はしない. そういうとき,この種の問題は放置されていることもおおい. しかし,自動車に対しては自動更新も手動更新もできない. 放置するには問題がおおきすぎるということで,今回トヨタはリコールすることになった.
ユーザの反応をみあやまったことに問題がないとはいえないが,実は一部のユーザの反応ほどに危険な問題ではないようにみえる. あまりにさわぎすぎているのではないだろうか?