エコキュートにはたいてい 「追い焚き」 と称する機能があるが,これはあまりつかいやすい機能ではない. これはタンクにたまった湯によって,さめた浴槽の湯をあたためる機能なので,ガスの追い焚きとくらべると効率がわるくて,40 ℃ にするには数 10 分かかる. そこで,この機能もいかしつつ,もうすこし効率よく 「追い焚き」 する方法をかんがえた.
エコキュートの機種によっては 「高温さし湯」 という機能がある. これは 60 ~ 80 ℃ の湯を浴槽にいれる機能である. 機種によっては 60 ℃ よりたかい温度にはならないこともあるが,さめた湯をあたためるにはより高温の湯をいれるほうがよい. 湯量をふやさないようにするには,あらかじめ浴槽の水をすててから 「高温さし湯」 すればよい. タンクには 80 ℃ 以上の温度の湯がはいっているのだから,その湯をそのまま浴槽にいれることができれば,すてる水の量をへらすことができる. ところが,それができない機種がおおい.
この点でぐあいがよいのは,三菱の SRT-HP37W4 という機種だ. そのため,この機種をえらんだ. この機種を中心として,しかし他の機種にも応用できるように,「追い焚き」 の手順を書いてみることにする.
できるだけ手順をかんたんにするため,あらかじめさし湯の量を 50 リットルに設定しておく. これはこの機種だけの機能だ.
- 「追い焚き」 するときはまず,浴槽の栓をぬいて 50 リットルくらい水をすてる. つまり,どこまでぬけば 50 リットルになるかをおぼえておいて,そこまでぬけたら,ふたたび栓をしめる.
- つぎに,「高温さし湯」 機能によって 80 ℃ 50 リットルの湯をそそぐ.
80 ℃ の湯はやけどの危険があるので,これもそれほど手順はかんたんではない.
ちがう機種のばあいはここで 50 リットルにこだわる必要はないが,たぶん手順はもっと複雑になるだろう. たとえば,よりすくない量のさし湯をくりかえす必要があるかもしれない. 80 ℃ の湯をだすことができない機種のばあいは,すてる水やさし湯の量をふやす必要がある. - 「高温さし湯」 がおわったら,そこで 「追い焚き」 する. これは,「高温さし湯」 だけで温度を調節するのはむずかしいし,それができたとしても保温機能などがはたらかないからだ. 「追い焚き」 すれば,通常のわきあげの機能をはたらかせることができる. つまり,指定された温度までわきあげることができるし,指定された時間だけ保温しておくことができる. ただしくわきあげるためには,「高温さし湯」 のあとの湯温が 「追い焚き」 の設定温度よりひくい (かつ設定温度にちかい) 必要がある. 「高温さし湯」 直後の温度が設定温度にちかければちかいだけ,「追い焚き」 の時間はみじかくてすむ.
いささか操作は複雑だが,この機能をつかうと 10 数分で 「追い焚き」 ができる. しかし,すてる水の量がおおくなればエコでなくなるし,「追い焚き」 の時間がながくなればやはりエコでなくなる. うまくやるにはある程度の熟練が必要だが,せっかくのエコキュートなので,熟練して,なるべくエコにつかったほうがよいだろう.
追記:
50 リットルぬいて高温さし湯すると湯温が何度になるか,ちょっと計算してみよう.
もともと浴槽に 20 ℃ の湯が 200 リットルはいっていたとする.
50 リットルぬくと,のこりは 150 リットルである.
20 ℃ の湯 150 リットルと 80 ℃ の湯 50 リットルをまぜると,その温度は
(20 x 150 + 80 x 50) / 200 = 35で,だいたい 35 ℃ になる. わきあげ温度が 40 ℃ なら,ほんとうはもうすこしたかい温度にしたいところだ. もし 30 ℃ の湯 150 リットルからはじめたら,
(30 x 150 + 80 x 50) / 200 = 42.5で,今度は 40 ℃ をこえてしまう. 40 ℃ にしたいのであれば,もうすこしさし湯の量をへらす必要がある.