最近,キリンはラガービールの広告を電車の車内などに掲載している. ビールらしいビールの復権をねらっているということだろうか?
私自身はビール派だ. ワインなどもすきだが,ふだんはビールをのむことがおおい. 発泡酒とか第 3 のビールとかいうヤツは,ごく一部のものをのぞいてはごめんだ.
キリンラガーもすきなビールのひとつだが,最近よく買うビールは 「芳醇物語」 だ. これはドイツからの輸入品だが,値段は日本のビールよりやすい. しかも,本来のビールの味がする. キリンラガーも伝統にねざしたビールだが,日本人にあわせて,また時代にあわせて,何回かおおきな変革をしている.
数ヶ月前に明治時代のキリンビールや大正時代のキリンビールの味を再現したという製品を買ったが,それでわかったキリンの (たぶん) 最初の大変革はビールの原料として米をつかうようにしたことだ. 明治版のビールには米をつかっていない. そのため,ドイツによくあるビールにちかい,キレのよい味になっている. しかし,大正版のビールには米をつかっていて,昭和のキリンビールにちかい,マイルドな味になっている. これが日本のビールの原点だとおもえる.
しかし,キリン・ラガービールは生ビールが台頭するなかで,しだいにシェアをおとしていった. そのなかでキリンがこころみたのは,キリンラガーを生ビールにすることだった. キリンの初期の生ビールを飲み屋であじわったときには,あまったるい味だと感じた. しかし,それが生ラガーを製品化したときには,みごとな味にかわっていた. 従来のキリンラガーの味にちかいが,生ビールのフレッシュさをそなえた味になっていた. これがたぶんキリンビールの第 2 のおおきな改革だとおもえる.
私自身は米がはいっていない本来のラガービールの味にも魅力を感じる. いま日本ではこういうラガービールはむしろ高価なものになってしまっている. そのなかで 「芳醇物語」 は安価でありながら本来のビールのうまさをもつビールだ. しかし,キリンビールの伝統をうけつぎつつも時代にあわせて改良されてきたキリン生ラガーの味もよい. どこかで安売りしていないだろうか?