スーパー・オーディオ CD (SACD) が登場してからだいぶたつが,これまで,ためしてみる機会がなかった. 最近ようやくマーラーの交響曲 2 曲の SACD 版を買ってためしてみて,おもっていた以上のちがいがあることがわかった.
SACD は最近まで,とくにプレヤーが高価だった. 安価になったソニーの SCD-XE600 というプレヤーを 1 年ほどまえに買っていたのだが,なかなか適当な SACD がなくて,ためしていなかった. しかし,最近ようやく Valery Gegiev による Mahler 交響曲 7 番 と,David Zinman による Mahler 交響曲 4 番の SACD を買った. これらは従来の CD と同程度の価格で,2 チャンネル,5.1 チャンネルの SACD と従来の CD に対応している.
5.1 チャンネル再生はまだためしていないが,2 チャンネルの SACD と CD を比較してみると,あきらかなちがいがある. そもそも,比較してみなくても,SACD で再生してみたとたんに,その音のゆたかさや迫力のすばらしさを感じる. おなじプレヤーで CD として再生してみると,音ははるかに貧弱になってしまう. ともに 2 チャンネルの音なのだが,周波数上限が CD の 22.1 kHz に対して SACD では 100 kHz 以上だ. しかし,ここまでの差があるとはかんがえていなかった.
安価な SACD プレヤーなので CD の周波数帯域上限の音がうまくあつかわれていないという可能性もないではないが,そもそも人間にはその周波数の音のちがいをするどくききわける能力はないとかんがえられる. ちがいがあるのは,やはり可聴帯域をこえる音があるかどうかだろう.
きこえない音が影響をあたえるはずがないとかんがえがちだが,筑波大学教授だった 大橋 力 (別名 山城 祥二) 氏は可聴帯域をこえる音が脳波などに影響をあたえることを実験でたしかめていた. 人間の聴覚は線形系ではないので,超音波がまざっていると可聴帯域の音もちがってきこえることは不思議ではない. とはいえ,すくなくとも線形系で近似はできるので,可聴帯域の音だけで近似してもそれほどおおきなちがいはないだろうとかんがえてきた. しかし,それをかんがえなおさなければならないようだ.
2010-4-3 追記:
この試聴につかったヘッドフォンはゼンハイザーの HD212 Pro と eH350 である.
再生周波数は 19 ~ 22 kHz までとなっていて,それほどよくはない.
それでもあきらかな差があった.
さらに周波数特性のよいヘッドフォンをつかえば,差がきわだってくるのかもしれない.
またヘッドフォンが買いたくなってきた.
Yamaha HP-1 でくらべてみると,むしろ差はわかりにくくなった.
いま自宅にあるスピーカーやヘッドフォンのなかでもっとも高音特性がよいのは Denon のスピーカー SC-F103SG だろう.
仕様では 40 kHz までとなっている.
これできくと,たしかに差がよくわかる気がする.
ただし,超音波は指向性がつよいとかんがえられるから,ちょっとうごくだけで特性がかわってしまって比較しにくい.