国の予算は本来,税金によってまかなわれるべきものだ. ところが,いまや税金より借金のほうがおおくなってしまっている. 借金は若い世代や未来の世代に負担をおしつけるものだと主張するひともいる. その一方で,借金も国内から調達しているのだから債務超過におちいることはなくて,さほど問題はないと主張するひともいる. しかし,どちらもちがうのではないかとおもえてきた.
税金をはらうのも日本人なら,借金のために発行した国債を買うのもほとんど裕福な日本人だ. 本来は税金としてはらうべきものを,国債のばあいはあとで返済されるものとしてはらっている. 全額を税金でまかなうなら,所得の再分配がなされる. 通常は裕福なひとから貧乏なひとに所得が移転される. ところが,国債のばあいには利子がつくから,裕福なひとはますます裕福になる. つまり,若い世代や未来の世代が負担しているというよりは,貧乏なひとから裕福なひとに所得を移転していることになる.
国債から利益をえたひとは,やがてその利益をこどもの世代に相続することになる. そこでたかい相続税によって利益が国に移転されれば,将来の世代のなかでの不平等は解消されるだろう. しかし,相続税がひくければ,不平等が継続されることになる.
消費税は逆累進性があるからよくないという議論がある. しかし,逆累進性があっても,さすがに裕福なひとから貧乏なひとに,逆の所得分配がなされることにはならないだろう. 税の不足分を国債でおぎなっていても,すぐに財政の破綻をまねくことにはならないだろうが,逆の所得分配がすすむことになるとすれば,やはりそういう状態をはやく解消するように,税制のみなおしが必要なのではないだろうか.