建築だけでなく,おおくのデザインにおいてコンピュータはなくてはならないものになっている. しかし,そのほとんどがコンピュータを単なる道具として,デザインにとって本質的ではない部分でつかっているにすぎない. 著者はコンピュータのパワーをもっとデザインの本質的な部分にいかそうとしている.
この本のおおくの章は概念的な記述や既存のアルゴリズミックなこころみの紹介などにあてられている. そこにはアルゴリズミック・アーキテクチャのさまざまな可能性がよみとれる. しかし,プログラムの例がしめされた,アルゴリズミック・デザインの具体的な適用例の章になると,当面,著者が興味をもっているのはアルゴリズムで生成される形態やその過程だけらしいことがわかってくる. そこでは建築が人間をつつみこむものであり,居住性,アメニティなどがめざすべきものだということは,わすれられているようにみえる. コンピュータにさせるべき仕事はこういう目的と形態とをうまくつなぐことなのではないだろうか. 失望させられる内容だった.
評価: ★★☆☆☆
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