従来の本と電子書籍とのひとつのおおきなちがいはセキュリティだろう. 電子書籍は有料であれば自由にアクセスできない点で Web とはちがうが,電子的に情報をぬきとれる可能性があるという点では紙の本とはまったくちがっていて,Web にちかい. 従来であれば本で公開されているとはいっても,そのなかの個人情報などが無制限にひろまることはなかったが,電子書籍ではそういう危険がでてくる. 書くときもそれを意識して書かなければならない可能性がある.
電子書籍の著者が自分のプライベートなこと,たとえば家族などについて書きたいとおもうことがあるだろう. そういう情報がぬきとられて悪用される可能性は,紙の本とくらべるとはるかにたかい. 紙の本から情報をぬきとるには人手をへる必要があるが,電子書籍からはロボット的なしかけで広範囲にかつ大量に情報が取得できる可能性がある. したがって,書くときにもそれを意識せざるをえなくなるだろう. それは電子書籍を書くときにおおきな制約になる可能性がある.
電子書籍がこれからひろがっていくことはまちがいないだろう. すくなくともセキュリティ上の問題がないフィクションをつたえる手段としてはよいとかんがえられる. しかし,ノンフィクションの内容に関しては,セキュリティ・リスクをかんがえると紙で出版したほうが制約がよわいので,よいかもしれない. そうすると,紙の本は将来にわたって,なくならない可能性があるだろう.
追記:
この項目のような話題にふれている Web ページがほかにみつからない.
「電子書籍 セキュリティ」,あるいは 「eBook security」 というキーワードでググってみても,不正コピーの話ばかりがみつかる.
読み手の立場で書いたページがおおいせいもあるが,気にしている書き手はいないのだろうか?