チリ・コピアポの鉱山事故でとじこめられた 33 人が全員,生還した. このニュースはいつも 「奇跡」 ということばを付して報道される. たしかに幸運でなければ死者がでることはさけられなかっただろう. しかし,周到な計画をたて,全員をまとめてきたのはマニュエル・ゴンザレスという指導者のためだという. それは奇跡,すなわち偶然ではない.
計画が周到だったことは,たとえば,食料の配給でもみてとれる. とじこめられた場所にはわずかな食料しかなかった. それを,地上とつながるまでに 20 日かかると予測して,全員が 2 日に 1 回,わずかずつ,たべることをきめて実行したという. 実際には最初のあながあけられるまでに 17 日かかったという. 20 日をこえていれば食料がなくなっていただろうから,非常に正確な予測だったといえるだろう.
2010-10-31 追記:
その後わかったのは,ここに書いたほど明確な予測にもとづいて行動していたわけではなかったらしいということだ.
食料も 20 日でなくなるように均等に配給していたのではなくて,最初はおおめに配給して,その後へらしたらしい.
なによりも,ひとりの指導者がすべてをしきっていたのではなくて,もっと分散的な管理をしていたらしい.
「全員がリーダーだった」 ということばをのこしたひともいた.
それが適切な表現でないとしても,いくらかの真実をふくんではいるのだろう.