著者はロボット屋からシステム論屋になったひとのようである. この本ではシステム論を発展させることがいまの日本に必要だという. 著者は 4 つの思考法として 「要素還元思考」,「システム思考」,「ポスト・システム思考」,「システム思想」 をあげ,それらは相補的だと主張している. はじめの 2 つはシステム論を知っているひとにはおなじみのものだが,あとの 2 つは著者が独自にかんがえたものだ.
著者はこれは宗教ではないというのだが,「ポスト・システム思考」 は哲学,「システム思想」 は宗教だ (とくに仏教に影響されている) ととらえると理解しやすいようにおもう. 著者がいうように 「要素還元思考」 でも 「システム思考」 でもとけない問題はあり,科学にこだわらないのであれば,そこに哲学や宗教が登場してくる余地がある.
現代の困難な問題をとくには,これらをうまくくみあわせるのがよいということだが,どうくみあわせればよいのかはあいまいだ. あとの 2 つを哲学と宗教とかんがえるなら,これはとくにあたらしい思想ではないだろう. もっと明確な指針をあたえてくれるのなら価値があるだろうが,この本からそれほどのものがえられるようにはおもえない.
評価: ★★☆☆☆
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