iPhone と iPad の iOS の版がいずれも 4.2.1 になって,機能がほぼそろった. 動作するアプリケーションには差があるが,PDF の表示機能をくらべてみよう.
iBook にも PDF 表示機能がある. iBook に PDF ファイルをいれるには,iTunes で 「ブック」 をひらいて,エクスプローラ (ファインダ) から PDF ファイルを ドラッグ & ドロップ してから同期させるだけでよい. 直感的な操作でライブラリを管理することができる.
だが,ページの表示はおそい. iPad でも iPhone でも,むきをかえるだけでも,再表示に 5 秒程度かかる. 拡大・縮小すると,やはり 5 秒程度かかる.
拡大した状態でのスクロールは比較的なめらかだが,スクロールしながら読めるわけではない. 紙ならば,うごかしながら読むことができるし,そもそも一度に全体をみることができるから,これはあきらかに弱点だ. これはたぶん液晶ディスプレイに共通の弱点だろう. 電子ペーパーは応答速度が液晶よりおそいから,さらによわいことになる.
iPhone, iPad に共通のアプリケーションとして GoodReader がある. GoodReader に PDF ファイルをいれるには,iTunes につないでそのデバイス (iPhone, iPad) をひらき,"App" メニューの 「ファイル共有」 機能をつかって,PC からファイルを転送する必要がある. この操作は iBook の直感的な操作にくらべるとわかりにくいが,デバイスごとにちがうファイルを選択できるのはよい.
GoodReader はページのきりかえや拡大・縮小への応答性がよい. 1 秒以内に再表示がおわる. その反面,iBook や後述の iAnnotate とくらべると,スクロールはなめらかでない. しかし,スクロールしながらよむことはどちらにしてもできないのだから,これで問題はないだろう. 表示機能だけをとれば iBook よりよいということができる.
iPad だけでつかえるアプリケーションとして iAnnotate PDF がある. 私の iPad にのせた iAnnotate PDF は一時こわれて,ひらかなくなっていたが,いったんアプリケーションを消去して iTunes からいれなおすことで,回復した. ファイル転送に関しては GoodReader とおなじ方法をつかうことができるが,PC 上のファイルと同期させるためのソフトウェアが用意されている. ただし,GoodReader にいれたファイルを 「共有」 させようとすると,ふたたびコピーされて,メモリを 2 重に食うことになる.
iAnnotate PDF は表示に関しては iBook 程度の性能だ. ただし,スクロールは GoodReader と同様になめらかだ.
iAnnotate PDF の特徴は全文検索機能だ. 残念ながら日本語は検索できないが,アルファベットなら,たちどころに検索でき,文書をひらくと該当箇所がわかりやすく表示される. PC 上で Adobe Reader をひらいてひとつの PDF ファイルを検索するのにちかいが,Adobe Reader のハイライトがみにくいのにくらべると,iAnnotate PDF の表示のほうがよい.
iAnnotate PDF の弱点は,11 月 22 日にでた最新版の 1.3.2 においても動作が不安定なことだ. ちいさなファイルだけあつかっていれば問題ないのかもしれないが,雑誌をスキャンしたファイルをいれてつかうと,しばしばダウンしたり,エラーが発生したりする. iPad のアプリケーションのなかでは 1200 円と,比較的高価だが,いまのところ,実用的ではない. しかし,全文検索がつかいたければ,いまのところ,これしか選択肢はないようだ.
ほかにも PDF Viewer はあるが,いまのところ,ためしたのはこのくらいだ.