この本では 「デバイス」 とよばれている Kindle や iPad などについての本のおおくは,電子書籍や情報端末の表層的な紹介や比較にとどまっている. そのなかで,この本はそれらがもつもっとふかい意味を分析しようとしている.
この本の一番のエッセンスはインターネットの歴史において,自由でひらかれたインターネットをささえてきた 「パソコン=純インターネット生態系」 から,インターネットをとじた世界に分割する 「デバイス=クラウド生態系」 への移行がすすんでいくというところにある. 著者はそれがさらに 「インタークラウド」 というつぎの時代につながっているということまで書いている.
しかし,このような論旨がストレートなかたちで展開されず,また,一般の読者には解説なしではわからないであろう概念がいろいろ登場してくるため,読むのはかならずしも容易でない. しかしそれらが,著者がさまざまな本を読んでかんがえてきたことの結晶であることはまちがいないだろう. 論旨の展開や用語にはいろいろ疑問もあるが,じっくり読めば,いろいろ得ることがあるだろう.
評価: ★★★★☆
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