カリブ海のちいさな島 St. Maarten (セント・マーティン,シント・マーテン) での学会では,PowerPoint がおもうようにつかえなくて,時間をとられているひとがおおかった. そのおもな理由はふたつある. 第 1 はどの会場でもつかわれていたプロジェクタだ. 第 2 は Microsoft (マイクロソフト) の OS とアプリケーションだ.
「つかえない」 東芝のプロジェクタ
この学会でつかっていたプロジェクタは,どの会場でもおなじ東芝のものだった (Web でみてみると,すでに製造は中止されているようだ). 解像度があわないかなにかの原因でうまくうつらないことがしばしばだった. ダメなときはモードがきりかわりつづける. ときどきただしくうつっているようにみえるのだが,そこでとまらない. すぐに他のモードにうつってしまって,いつまでもループしている. これは,これまでにみてきたプロジェクタのなかで最悪の設計だ. これではつかえない.
ただしくうつっているようにみえる瞬間もあるので,そこでとめることができればよい. それができなとしても,どこかで停止してうまくいかない原因を表示するべきだろう. ループ検出機能がないのは致命的な欠陥だ.
こういうトラブルの際にひとびとがとる行動についても,あわせてわかった. 発表者の PC が原因の一端を構成している. したがって,発表者は自分の PC の設定をかえることで対処できるのではないかとかんがえられる. しかし,会場には 1 台の PC が用意されていて,それをつかえばうつせいることは確実だ. すると,これまでにみたところでは,トラブルにまきこまれたすべての発表者が用意された PC にスライドを移動させて解決している. その PC は下記のように性能的に問題があることがあらかじめわかっているにもかかわらず,そうしている.
私なら,まず自分の PC の解像度をかえてみるだろう. トラブルがおこったとき,私もそうしようとしたが,ほかのひとがさきに解像度をかえることを発表者に示唆していた それでも発表者は会場に用意されていた PC をつかうことをえらんだ. ループする仕様もユーザの特性を考慮していないが,こういうユーザのふるまいを考慮すれば,さらによい設計ができるだろう.
最後にもうひとつ,つけくわえておこう. あるセッションではこのプロジェクタの電源がぬけるという事故があった. そのとき,電源をつなぎなおしても,すぐにはもとにもどらなかった. このプロジェクタに関しては,通常の使用時にも使用者が期待するように動作しないのだから,こういうときにうまく動作することはのぞみえない. しかし,できればこういうときにも,つなぎなおしたときに復帰するしかけと,復帰するまでに時間がかかるなら使用者を安心させるしかけとがほしいところだ.
おもい PowerPoint と Windows
プレゼンテーションのスケジュールをおくらせていたもうひとつの原因は,PowerPoint (パワーポイント) がおもいことだ. スライドをきりかえるのに 10 秒以上かかる. そこで使用しているコンピータで 10 年前におなじプレゼンテーションをこころみたら,そのほうがかるかっただろう. なぜこんなにおもくなったのか,それにはたぶん 2 つの理由がある.
第 1 の理由は PowerPoint だろう. Microsoft Office (マイクロソフト・オフィス) は 2007 になったとにかなりおもくなったが,そのときつかわれていたのは PowerPoint 2010 であり,さらにおもかったのだとかんがえられる. しかし,あたらしい PowerPoint の機能をつかっているひとはすくない. 2003 以前の版でたいていは十分だ.
第 2 の理由は Microsoft Windows (マイクロソフト・ウィンドウズ) だ. Windows XP は最初にでたときには WIndows 98 や Windows 2000 などの従来版の Windows よりかなりおもかった. しかし,それでも,最初の版は時間がたつとともに PC の性能があがって,それほどおもく感じなくなった. ところが,セキュリティ機能などが強化されるにつれて,Windows XP はどんどんおもくなった. 当然のことながら,Windows 7 になっても,それよりかるくなるということはない.
たぶんこれらによって,メモリを増設していない PC では,もともと Windows XP 上で PowerPoint が軽快にうごいていたにもかかわらず,いまやとてもおもくて,つかえなくなってしまった. この学会でプレゼンテーションをじゃましていた PC もそういうものなのではないだろうか.
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