政府は法人税を 5% 減税する予定だった. しかし,震災対策への支出が大幅にふえるいま,減税するべきでない. 一段落するまで減税は延期するべきだろう.
日本はアメリカ合衆国とならんで法人税がたかい. アメリカにはそれをおぎなう制度があるから,日本は世界一,企業の負担がおおきいという声もきく (真相がどうなのか,私はよく知らない).
他国より法人税がたかいと,日本の企業にとっては国際競争において不利だ. 企業もグローバル化しているから,日本の企業が海外にでていって,空洞化がおこるということが心配されてきた. それをさけるためには法人税を減税する必要があるということを自民党も民主党もみとめている. だから,それが 2011 年度に実施されることは確実視されていた.
しかし,東日本大震災の発生で,状況はおおきくかわった. ただでさえ減税によってあく穴をどうやってうめるのか,はっきりしていなかった. 震災対策のために莫大な費用がかかるなかでは,さらにうめるのはむずかしい.
しかし,いま減税されないからという理由で海外に移転する企業がでてくるだろうか? 震災の影響で日本で営業をつづけることが困難になる企業はあるかもしれない. しかし,原因が震災なら,減税しても移転していくだろう. それに対して,震災でおおきな影響をうけていない企業が海外に移転するとしたら,それは日本を見捨てることを意味するだろう.
こういうときに日本を見捨てる企業がもしあるとすれば,もう日本では信頼されなくなるのではないだろうか? いくら海外に移転しても,日本の技術や人材をつかっているのだとしたら,そういう企業はちからをうしなっていくのではないだろうか? だから,いま空洞化を心配して減税をする必要はないだろう.
震災需要があまり期待できない企業にとってはくるしいだろうが,当分はいまの税率でがんばってもらおう.