計画停電は,単に停電している時間に仕事や生活のさまたげになるだけでなく,電力の継続的な使用を前提にしているおおくの工場の操業を長期間にわたって,とめてしまう. 節電の方法としては最悪だということができる. しかし,東京電力は震災後すぐに計画停電の実施にふみきった. そうしたのは,よりよい方法を準備する時間がなかったからだろう. しかし,長期的に実施するには最悪の方法だとしても,短期的に計画停電を実施したことにはプラスの効果もあったのではないかとおもう.
福島第一原発の事故によって電力が不足し,節電が必要になっていることは,連日,マスコミなどでつたえられている. それを知らないひとはほとんどいないだろう. しかし,マスコミの報道などを目にするだけでは,ひとびとの意識を十分に改革することはできないだろう.
現在は計画停電なしですむようになっているが,それは節電がおこなわれているからであり,その節電のおおきな動機になっているのが計画停電の経験なのではないだろうか. 節電の必要性を実感するうえでは計画停電が有効だったようにおもう. つまり,比較的わずかな期間ではあったが計画停電が実際におこなわれたことは,工業生産などへのマイナスの影響だけでなく,節電を推進するというプラスの影響があったようにおもう.
しかし,今後は計画停電はぜひ,さけるべきだ. 停電がおこらないようになると,ひとびとの節電意識はまた,うすれてしまう可能性がある. それをたかめていくには,なにかべつの方法をかんがえる必要がある.