石原都知事が自動販売機とパチンコ屋をめがたきにする発言をしている. これらにほかよりつよい使用電力規制をかけるというのはありうることだとおもうが,この発言にいきおいづけられて自動販売機やパチンコ屋の営業を禁止するというのは,これらをスケープゴートにする危険なかんがえだ. 太平洋戦争中をおもいださせるような,こういう議論にのせられないように気をつけるべきだろう.
都知事が積極的に発言し,議論をまきおこしたことは評価したい. それをうけて,自動販売機やパチンコ屋はいらないという発言をするのも,もちろん自由だ. しかし,自動販売機でひえた飲料を買うのも,パチンコをするのも,ひとによってはだいじなたのしみだろうし,同時に経済を活性化させている活動だ. それを禁止してしまえば経済の低迷をまねきかねない.
夏場の電力不足は工場生産などに深刻な影響をあたえかねないと危惧されている. だから,「非常時」 ということばもきかれる. しかし,いくら深刻な震災が発生し,原発事故がつづいているとはいっても,いまは戦時ではない. 経済活動を低下させないことが重要だ. 生産活動が維持できても,消費がおちこんでしまえば経済は低迷する. 経済の低迷をまねきかねない営業禁止のようなつよい方法は回避するべきだろう. 電力削減が目標であるなら,目標値をあたえて自主的な努力をもとめるのが適切な方法だろう. たとえば自動販売機に関しては業界が 25% 削減を目標としてかかげているが,それで不十分であるなら,もっとつよい削減をもとめればよい.
また,夏場の電力不足において自動販売機やパチンコ屋が実際にどれだけ問題になるのか,慎重に判断するべきだろう. 都議会の民主党もそこまでかんがえずに自動販売機の規制案を提案しようとしているようだが,こういううごきは批判されるべきだろう. (それにしても,自民党の推薦をうけた石原都知事が自動販売機の規制をもとめ,民主党政権の蓮舫大臣はそれに反対する意見をのべているなかで,都議会民主党が規制案を提案しようとしているというのは,なにやら複雑怪奇でおもしろい構図だ.)