WiLL 2011 年 5 月号では,震災直後の時点でいろいろなひとがこの大震災について書いている. そのなかには,被災者救援と復興にむけて,まえむきな議論をし,共感するべき点がすくなくない文章もある. その一方で,菅首相や蓮舫大臣の足をひっぱるだけでなく,罵詈雑言をあびせる文章や対談もすくなくない. ふだんならそれもよいだろうが,こんな事態のなかで,建設的な批判ではなく,震災対策をじゃまするような議論をするのは非常識としかおもえない.
しかも,それらの文章や対談では,書いてあることが判をおしたようにおなじなのだ. 菅首相や現在の内閣のサヨク的なところを批判したり,蓮舫大臣に関しては事業仕分けにおけるスーパー堤防予算カットや「まれにみるバカ女」(宝島社) というあやしげな本の内容をうのみにして,あるいは利用して,罵声をあびせている. はたして,このひとたちは自分のあたまでかんがえることができるのだろうかと,おもわざるをえない. 渡部昇一にいたっては,首相が靖国神社に参拝しなかったから天変地異がおこるかのような信じられない記述をしている. まさかほんとうにそう信じているわけではないだろうが,そのかきっぷりは煽動的だ.
民主党政権に気に入らないところが多々あるのは理解できるが,いまは協力して震災対策にあたるべきなのではないだろうか. また,だれが信頼に足ることをいっているのか,だれのいうことは信じるべきでないのか,よく,みわけるべきだろう.