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社会・経済, 書評:社会・経済

空想ではなかった (?) 「空想的社会主義」

レベッカ・ソルニットの 「災害ユートピア」 という本には,災害時にはおおくの場所で,たがいにたすけあい,自分がもつものすべてを他人にあたえ,金銭が機能しなくなるユートピアのような状態が生じると主張している. 例としてとりあげられているのはハリケーン・カトリーナやサンフランシスコ地震や 9.11 などだ. 東日本大震災直後の日本もそれにちかい状態だったといえるだろう. そういう空想的社会主義的な世界がうまれていたのだとしたら,空想的社会主義はけっして空想ではなかったということができるのではないだろうか.

空想的社会主義者といわれたロバート・オウエンなどが実際に発生したユートピア的なコミュニティを知っていたか,また意識していたか,私は知らない. しかし,たとえせまい範囲であるとしても,そういうコミュニティが実際に存在しうるのであれば,「空想的社会主義」 ということばは適切でないだろう. 「科学的社会主義」 のほうがはるかに眉唾なことばであることはまちがいないだろう.

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