菅内閣が最近うちだす政策は唐突な印象をあたえる. 浜岡原発の停止要請もそうだし,サミットに行った際の OECD の演説では自然エネルギー比率を 20% にするという「公約」をしたという. 震災の直後には計画停電をうけて節電をよびかけたが,政府がすばやいうごきをすれば計画停電はさけられたのではないかという指摘もある. 計画停電をさける対応をとらず浜岡原発を停止させて電力をさらに逼迫させる,それは危機を演出してエネルギー政策の改革を成功させようということなのではないか?
危機の勃発は社会の変革をうながす. その最大のものが東日本大震災だ. これはもちろん菅首相が意図したものではないが,菅首相はこれもある意味で利用しようとしているようにみえる.
この震災がなければそもそも不正献金問題で菅首相のくびが飛んでいたかもしれない. 震災発生は菅首相のくびをつなぎとめただけでなく,ふつうではできなかったさまざまな改革を可能にしつつある. 消費税増税もそのうちのひとつかもしれない.
だからこそ,万難を排して首相の座にいすわろうとしているのだろう. 党内からも辞任をもとめられ自民党中心の不信任案が可決されるところだったのを,辞任をほのめかすことでのりきった. もはや不信任案という最大のカードはのこっていない.
被災者救援がおくれていることで菅内閣は批判されている. しかし,それは承知のうえで,被災地や被災者の生活の復旧よりも日本全体の復興をめざし,そのなかで菅首相がやりたかったことを実現しようとしているのだろう. それが評価できるまでにはまだすくなくとも数年はかかるだろう.
国民の支持をうしない,辞任時期に関して国民までだましかねない状態になっている. そして政権内からも辞任時期を明確にするようにせまられている. にもかかわらず,したたかに首相の座にいすわっている. それが,おおかたの予想のように凶とでるのかそれとも吉とでるのか,まだ評価できないようにおもう.