エアコンの設定温度と室温は一致しない! ― 温度計を何個かおいてみよう
エアコンの設定温度は 28 ℃ にしようとか,エアコン運転時の室温は 28 ℃ にしようとか,だいぶまえからいわれてきているが,いまだにあまり,まもられていないようだ. 28 ℃ ではあつすぎてダメだということもあるだろうが,リモコンでの設定温度を 28 ℃ にしたからといってそのとおりにはならないというのが,そのおおきな理由なのではないだろうか. いろいろくふうして,温度をはかって効果をたしかめてみるとよい.
エアコンの設定温度は 28 ℃ にしようとか,エアコン運転時の室温は 28 ℃ にしようとか,だいぶまえからいわれてきているが,いまだにあまり,まもられていないようだ. 28 ℃ ではあつすぎてダメだということもあるだろうが,リモコンでの設定温度を 28 ℃ にしたからといってそのとおりにはならないというのが,そのおおきな理由なのではないだろうか. いろいろくふうして,温度をはかって効果をたしかめてみるとよい.
幕末から明治維新までを第一の敗戦,太平洋戦争を第二の敗戦,そして構造不況から東日本大震災を第三の敗戦と呼んで,第一,第二の敗戦からまなんで第三の敗戦に対処する方法をかんがえている. 第一,第二の敗戦に 2/3 ちかいページ数がさかれているが,そのなかにも第三の敗戦からたちなおるためのヒントがちりばめられている. ただし,話題の中心になっているのは震災以前からある問題点だ.
震災後は理由も不明確なまま日本を賛辞する本がおおいなかで,この本は手きびしい. 日本はいまきびしい状況にあるのだから,元気はださなければならないが,解決するためには問題点をきちんとみすえなければならないということだろう.
評価: ★★★★☆
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自宅を建てたのは 1988 年,それから 23 年間,台所の換気扇をつかいつづけている. この間に 2 つあるトイレの換気扇はこわれて交換した. 台所の換気扇はいまもまわりつづけているが,最近,気になったのが低周波の騒音だ. 台所から数 m はなれても耳につく. そこで,その低周波をへらす対策をほどこした.
日本では,国力が低下するなかで東日本大震災をむかえ,世界的にも前例のない津波からの復興と,同様に前例のない原発事故からの復興が必要になっている. これらをつよみにかえなければ日本の復興はありえないだろう. 原発事故からの復興についてかんがえるとき,日本のつよみは原発をすてることからはえられないのではないだろうか? いま福島では世界に例のない事故対策をしている. それをつよみにかえるのは,原発そのものを復興することではないだろうか?
日本経済をよくするにはまず経済をきちんと理解して経済・財政のウソを見抜くこと,そして経済だけでなく原子力などでも専門知識にもとづいた議論が必要だと主張している. 著者が憂いていることのひとつはリーダーシップの不足だが,専門家をあつめて明確な目標をあたえ,たばねていくのが政治的なリーダーシップということだろう.
著者は,まずデフレを克服することが重要だが,いまだにそれができないのはまちがった政策のためであること,増税はデフレをながびかせることを主張している. 小泉政権時代の政策のただしさを主張するためにもかなりのページをさいているが,これは著者のこれまでの本にも書いていることであり,ちょっと鼻につく.
評価: ★★★★☆
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日銀や財務省がインチキ経済学にもとづくまちがった金融・財政政策をとっているから日本経済がよくならないという主張をしている. あまり他人の著書や発言を引用せず著者自身のかんがえを展開していくスタイルには,独断があるのではないかという不安を感じさせる. とくに,この本の主張からすると日銀や財務省は道理のわからないバカのあつまりだという印象をうける.
しかし,日銀が十分な金融緩和をしないからデフレから脱却できない,震災復興には国債をつかうべきであり増税するべきでないなど,おもな主張は竹中平蔵の 「日本経済こうすれば復興する」 などと共通だ. 東電に関しては負担額 4 兆円が限界という明確な数値をしめしている. ほかにもいろいろ具体的な提案があり,示唆的だ.
評価: ★★★★☆
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かつて働き手に求められていた 「指示に従う」,「出勤時間に遅れない」,「勤勉に働く」 ことにかわって,これからもとめられるのは 「目立った存在になる」,「利他心をもつ」,「創造的になる」,「判断したことに責任をもつ」,「人やアイデアを結びつける」 ことだという. 原書はアメリカで出版されたのだろうが,これだけみても日本のサラリーマンへのメッセージだとよめる. 経営者や起業家に向けた本は多数あるが,この本のように一般のサラリーマンへの熱いメッセージ,とくに日本のサラリーマンが自分にむけられていると感じられるものはすくないようにおもえる.
評価: ★★★★★
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序章において著者は中国の台頭や中東での民主化運動にふれ,西洋文明が限界点に到達しているのではないかとのべている. そこで著者がたよりにしているなかにはヨーロッパの思想家もいるが,この本でおもに引用されているのは森信三と安岡正篤だ. この 2 人がいま引用するに値するのかどうか,よくわからない. しかし,ウィキリークスをデジタル情報革命の弊害といってかたづけたり,人々や社会はどんどん無力化し堕落しはじめているというような現代社会に対する偏見にこれらの思想家のかんがえをむすびつけてみても,著者がめざす 「21 世紀の近未来を洞察する」 ことにはつながらないだろう. 森や安岡の引用が登場しない最終章がたぶん著者の得意分野である現代日本における「国を開く」施策についての章であり,ここだけは読むに値する. それ以前の章は論理の破綻した,たわごとといってよいだろう.
評価: ★☆☆☆☆
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Part 1 がおもに復興 (構想) 会議について,Part 2 が原発と自然エネルギー,Part 3 が東北を中心に,さまざまな企業とくに製造業への震災の影響について書いている. 副題は 「どうなる,この地域,あの企業」 となっているが,地域ごとに書かれた部分や被災者の生活の記述はないし,農林水産業などについての記述はすくない. 「震災復興」 というタイトルにしては,かたよった内容ともいえるが,東北の産業別の現状をまとめているところなどは,それなりにやくにたつだろう.
評価: ★★★☆☆
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ネットワーク・フロー問題や費用を最小化するネットワーク・トポロジーをもとめる問題など,さまざまなネットワーク設計問題をあつかっている. 200 ページの紙幅のなかで 10 種類ほどの問題をあつかい,そのそれぞれについてさらに厳密解法と何種類かの近似解法を記述している. 消化不良をおこしそうだがカタログとしてはやくにたつだろう. こういう本はもっとありそうだが,すくなくとも現在ではほとんどみあたらない.
実践という点では,それぞれの解法がどういう応用に適しているかがわかるとよいが,教科書としてはこれ以上ページ数をふやすのはむずかしいのだろう.
評価: ★★★☆☆
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自宅の屋根に太陽電池を設置してから 1 年以上たった. 太陽電池の開発に各社がしのぎをけずっていたので,そのときはより効率のよいやもの安価なものがすぐにでてくるだろうとかんがえていた. だから,いま設置するのがよいのか,もうすこし待つのがよいのか,多少のまよいがあった. しかし,1 年強たってみると,主力メーカーであるシャープや京セラから製品としてでているものはほとんどかわっていない. 昨年設置したことはまちがっていなかった.
菅政権は浜岡原発停止を要請したあと,ほかの原発に関してはこれまでどおりのあつかいを継続する方針をきめた. その方針にしたがって,いったんは玄海原発の再稼働をみとめることにして,地元もそれにしたがって再稼働をみとめる方向になった. ところが,菅首相は突然,再稼働のまえにストレステストをおこなう方針をうちだした. これではこの夏とつぎの冬の電力を確保することがむずかしいといって批判されている.
たしかに,唐突にストレステストの実施がうちだされるのはおかしい. しかし,福島第一原発の事故があったにもかかわらず見直しをしないまま原発の再稼働をみとめることにむしろ疑問がある. ストレステストの導入はむしろ,“原発推進” にブレていた政策を本来の方向にもどしたということであり,適切な変更だといってよいだろう.
かつて地震予知は期待される「科学」だったが,しぼんでしまった. この本はそれがなぜ科学として成功しなかったかをおしえてくれるとともに,政治的にはいまだに予知が可能とかんがえられていたときの体制がいまだにくずされていない理由やしくみをあばいている. 原発に関しても地震で被害が生じる危険を指摘している. しかし,津波に関して言及している部分はあるものの,ほとんど揺れだけに注目している. 地震予知をめぐる科学と政治それぞれ,そして両者のかかわりについて,もっともするどく書かれた本だとおもう.
評価: ★★★★☆
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30 年にわたって通産省・経産省につとめてきた著者が,官僚によってどのように日本の政治がゆがめられてきたかをあばいている. 官僚がいかに巧妙な方法をつかうか,それに政治家が対抗するのがいかにむずかしいかがわかる.
ほとんどのひとは実名で登場する. 反骨精神のある官僚の目に,橋本龍太郎,小泉純一郎から現役のひとたちまで,政治家がどのようにみえているかがわかって,おもしろい. 民主党の政治家たちが官僚になめられているすがたも描かれているが,なんとか,崩壊するまえに対抗できるようになってもらいたいものだ.
評価: ★★★★☆
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菅直人の著書数冊のうち,厚生大臣になってまもなく書かれたのがこの本だ. その後まもなく書かれた 「大臣」 という本とともに厚生大臣としての経験がつよく反映されている. その後の本が野党としての民主党における経験を書いていて永田町中心であるのに対して,この本は霞ヶ関つまり官僚とのたたかいが話題の中心だ. その点ではより現在の菅直人につながっているといえるのではないだろうか.
著者は官僚をするどく分析している. しかし,厚生大臣のときにはそれほど熾烈なたたかいをしなくてもうまくいったようだ. もしかするとそれが民主党が政権をとってからの官僚に対するあまさにつながっているのではないだろうか.
評価: ★★★☆☆
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民主党が自由党を吸収したあとに書かれた本だ. 自由党と小沢一郎との関係について 2 つの章をあてている. その後の章は小泉自民党との対決,政権をとったときの政策や官僚とどう対決するかなどについて書いている.
厚生大臣の経験を書いた 「日本 大転換」 や 「大臣」 という菅の著書とくらべると実践にうらづけられていない理念的な記述がめだち,迫力に欠ける. 官僚とのたたかいについても書いているが,これまでの内閣は官僚に依存していたから官僚の抵抗をうけたのに対して,官僚への依存をなくせば 「抵抗はないと思う」 というところなどは,あまさがあったのではないかとおもえる.
もうひとつ気になったのは,小沢についてはいろいろ書いているのに,鳩山由紀夫についてはほとんど書いてないことだ. 菅のほかの本でもあまり登場しないようだ. このへんがひとつ,ふしぎなところだ.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 総理大臣の器@ , 総理大臣の器@Amazon.co.jp.
東日本大震災では阪神淡路大震災とくらべてボランティアの数がすくないといわれている. この本によれば阪神淡路のときは最初の 2 ヶ月くらいに圧倒的な数のボランティアがやってきたというが,東日本大震災ではその期間は被災地の混乱をおそれてボランティアのうけいれがおさえられていた. 著者は阪神淡路のときの経験から,ボランティアはそういうときにおしかけていけばよいという. また,「考える」 ボランティアであればマニュアルは不要だという. しかし,東日本大震災のような大災害においてはこのようなかんがえは危険であり,この本は有害なのではないだろうか.
たしかに,よく組織されたボランティアなら大災害の直後でもうまくはたらけるだろう. しかし,なんの条件もつけずにだれでもがおしかけていけばよいというのは無責任だとおもえる. 東日本大震災の直後の被災地にはさまざまな危険や混乱があった. それに対処できるそなえのないボランティアはおしかけるべきでなかっただろう.
阪神淡路とのちがいのひとつは,はやい時期から自衛隊や米軍が被災地にはいったことだ. かれらの仕事は危険や混乱のなかで 9 割,あるいは 99% のひとをすくうことであるのに対して,著者がいうようにボランティアがめざすべきは危険や混乱がある程度のぞかれたなかで 「最後の一人まで救う」 ことだろう.
ボランティアはときには 「おしかけて」 いくことも必要だろうが,もっと重要なのは臨機応変さ,著者のことばでいえば 「考える」 ボランティアが重要だろう. 著者はボランティア・マニュアルが 「考えない」 ことにつながるから不要だと主張しているが,東日本大震災をかんがえると危険から身をまもるためのマニュアルは必須だったとかんがえられる. ボランティアにはマニュアルをみて考える能力が必要であり,私が石巻などで実際にみたボランティアは,自分もふくめてそうしていたとおもう.
評価: ★☆☆☆☆
関連リンク: 災害ボランティアの心構え@ , 災害ボランティアの心構え@Amazon.co.jp.
著者は若者が日本に誇りをもてないおおきな原因を東京裁判とそれにもとづく歴史教育にみている. だから,この本の大半の部分は著者がただしいとかんがえる戦前の歴史の記述にあてている. 「南京大虐殺」 の否定がおおきなポイントになっているが,すべてを日本に有利に解釈しているわけではない. 日本の国際連盟脱退に関しては,リットン調査団報告書の内容が妥当であるにもかかわらず,脱退したのはまちがいだったと書いている.
東京裁判や 「南京大虐殺」 などに関する議論の成果をとりいれて公正な判断をしようとしているところは評価できるが,まだ根拠が不十分な記述もところどころにみられる. 読者は注意ぶかく読むべきだろう. しかし,あやまりをただすのは歴史の専門家でない著者ではなくて,歴史家がはたすべきやくわりだろう.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 日本人の誇り@ , 日本人の誇り@Amazon.co.jp.
著者も最後に書いているように,マンションの管理組合にはいろいろあり,それぞれちがう問題をかかえている. 著者のばあいは荒廃したリゾート・マンションを買って再生させるというちょっと特殊なケースだ. ふだん住むためのマンションの場合,賃貸マンションの場合,それぞれかなりちがいがあるだろう.
しかし,管理会社に目をひからせる必要があること,修繕が必要になること,そしてその施工業者の選択や工事の管理などに関しては,共通な部分がおおきいだろう. 著者のようにそれが 「趣味」 になるひとはすくないだろうが,すくなくともひとまかせではうまくいかない可能性がある. そこに主体的にかかわっていくとき,この本は参考になるだろう.
評価: ★★★☆☆
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菅直人の性格やふるまいをざっくばらんに書いている. たとえば,家族もふくめて親しいひとには電話で用件しかいわないこと,首相になってからもタグつきの服をきていたことがあること (それに注意するのは奥さんのやくわりじゃないの?!) など.
夫婦の会話もほとんどが政治の話題だというが,そういう話題のなかでひとつおもしろかったのは,民主党は枝野氏をはじめとする 40 〜 50 代が多いのにたいして自民党は 40 代がうすいという話だ. こういうおもしろいエピソードはほかにもいくつかあった. そういうところは菅直人本人が書いた本よりおもしろい.
評価: ★★★★☆
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東日本大震災で液状化した水田のなかには,今年は稲作をあきらめたところがすくなくないという. 砂がふきだして凹凸ができたり,砂でおおわれたためそのままではポンプで水がためられなくなったりして,稲作が困難になったという. 農家によっては他の作物をつくったり,安価なポンプを買って稲作をこころみたりしているという. 耕作放棄するにはそれだけの理由があるのだろうが,やる気がないのではないかと,うたがわけるケースもあるようにおもう.
災害にあったとき,どういう症状がでやすいのか,それに当人やまわりのひとはどう対処したらよいのかといったことがらをさまざまな側面からみている. しかし,自分自身が津波や原発被害にあっていない身には,この本の内容はどうもピンとこない. 災害にあってから本をよむのではおそすぎるのだから,もっと興味をひくように書いてもらいたいものだ.
評価: ★★☆☆☆
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さまざまな立場の 30 人をこえるひとが東日本大震災のなかでなにができるかについて書いている. それぞれ自分ができることを中心に書いているし,そのなかには対立あるいは矛盾している部分もある. しかし,そのおおくは震災をのりこえるための真摯な提案であり,読むに値する.
だが,この本の冒頭付近には,かつてはおおきな影響力をもっていたが,震災後,思考停止してしまっている評論家の文章があったりする. そんな,読んでもなにひとつえるところがない文章があると,読むのをやめたくなる.
評価: ★★★☆☆
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菅首相が 「脱原発」 をいいだしたことに,民主党内でさえ批判がまきおこっている. そのため,ついに首相はこの発言が個人のかんがえの表明だといわざるをえなくなった. この発言に反対するひとたちは党内でのコンセンサスさえもない状態での発言に反発している. しかし,コンセンサスができるまで発言するべきではなかったのだろうか? 私はそうはおもわない. 議論を活性化するだけでも十分な効果があったといってよいだろう.
東日本大震災に関して他の本にはあまり書いてない 「当然のこと」 や辛口の内容がこの本にはふくまれている. 1000 年に一度の大災害でもチェルノブイリほど深刻な事態にはならなかったことからかんがえて軽水炉は安全だということ,「想定外」 ということばがさんざん批判されたが工学的には 「想定」 が必須であること,だから原発事故の原因はほかにあること,再生可能エネルギーを推進するより発送電の分離が重要であること,人口が減少するなかでは人口が集中する地域によりおおく投資するべきである (「地方切り捨て」 をやらざるをえない) ことなどだ. もし震災復興に関していろいろな意見を知りたいなら,この本もぜひそこにくわえるのがよいとおもう.
評価: ★★★★☆
朝日新聞記者である著者が,東日本大震災後の約 1 ヶ月のあいだの福島第一原発に関する東京電力の記者会見やその他の経験をまとめたものだ. 大半は記者会見の記録であり,当時のようすをそのまま記録しようとしている.
出版されたのは 6 月末だが,最初の 1 ヶ月のできごとをそのまま記録するのであれば,もっとはやく出版できたはずだ. この時期に出版するのであれば,ほかの情報源からわかったことを折りこんで,記者会見での担当者や社長・会長のことばの意味をもっとはっきりさせることができたはずだ.
淡々と書かれている本文とはちがって,「あとがきにかえて」 では著者自身の東電幹部などへのきびしい評価も書かれているが,それが彼らのどのことばと対応しているのかはわからない. また,それは記者会見に対する感想の域をでない. 新書として発行するのであれば,記者会見の単なる記録ではなくて,はっきりした根拠にもとづいて記者会見の裏になにがあったかをつたえるべきだろう. 小学生の作文ではないのだ.
評価: ★☆☆☆☆
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ルーターのためのオープン・ソースのプログラムはいろいろあるから,それをのせてルーターをつくることに関してはすでにいろいろ本や Web 上のドキュメントがある. しかし,そういうプログラムは複雑なので,読んで理解するのは容易でない. この本は自分でルーターもどきのプログラムをつくることによってネットワークのしくみを理解することをすすめている. ネットワークに関してはこういう本はほかにないだろう. 貴重な本だ.
しかし,この本のはじめにはイーサネットやインターネット・プロトコルの説明もすこしあるが,初心者にわかる説明ではない. ほかの本でかなり勉強してからでないとこの本を読むのはむずかしいだろう. 「自分でつくる」 という方針なら,スクラッチから全部の標準機能をつくることはとうていできないだろう IP ルーターよりも,もっとかんたんなプロトコルをつくってみせるほうがいいようにもおもう.
評価: ★★★★☆
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ポイントをおさえているうえに,具体的でわかりやすい. 管理委託費の見直しに関しても委託費の表に書かれた数値例をもとにしている. 修繕に関しては写真が多数あげられている. ほかの部分も図表を多用していて,わかりやすい.
評価: ★★★★☆
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タイトルにふくまれる 「震災」 をみて買ってしまったが,これは帯にあるように日本の災害と信仰の歴史についての本であり,震災についてはむしろわずかしか書いていない. 災害については 1 章で書いている. 2 章は 「災害にへこたれない日本人」 というタイトルだが,おもに日本の神仏について書かれている.
日本の歴史に関するおもしろいエピソードなどをいろいろふくんでいるが,いささか,まとまりがない.
評価: ★★☆☆☆
日本人がリスクをとろうとしないことは,これまでも指摘されてきたし,私自身そう感じてきた. しかし,著者らの意見が他とちがっているのは,リスクをとろうとしないのは日本社会ではさまざまなリスクが大きすぎるからだとかんがえていることだ. 大学卒業時に就職できないと一生フリーターになってしまうというリスクのおおきさは,アメリカなどにはないということだ. ほかにもいろいろ日本社会の問題点が指摘されている. どれももっともであり,問題の根深さを感じざるをえない.
評価: ★★★★☆
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著者は 4 月 28 日に被災地にはいり,いろいろなひとの話をきいてこの本にまとめた. 震災前ならもっとひとびとに感動をあたえられるだけの内容をふくんでいるのだろうが,震災後はもっと感動的な話をいろいろ耳にし目にした. そのなかではこの本の内容はそれに 「ならぶ」 話ということになるだろう.
著者はこの本の最後のほうで,震災で助け合うことの重要性を思い知らされたいま,「人間として生きるための目的と動機が,震災前と震災後とで大きく変わらなければなりません」と書いている. しかし,それとともに 「特別になにかをする必要はありません」 とも書いている. しかし,変化を行動につなげなければ,日本を再興することはできないのではないだろうか.
評価: ★★☆☆☆
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阪神淡路大震災時には膨大なエスノグラフィーつまり被災者からききだされた話の記録がのこされていた. そのなかには,消火と人命救助のどちらを選択するかで苦悩した消防士や,避難所で奪いあいを目撃したり不当な要求をするひとをおいかけまわした話など,これまであまりきいたことがなかった話がいろいろふくまれている. 東日本大震災でも,おそらくまだきいたことがない話がエスノグラフィーとしてのこされることになるのだろう. それにしても,ともに大震災とはいっても被害の内容がおおきくことなる東日本大震災で,この阪神のエスノグラフィーをやくだてることはできたのだろうか.
評価: ★★★★☆
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定年後の仕事や生活の場をタイにもとめたひと,あるいは日本での仕事や生活をあきらめてタイにわたった若者など,いろいろな日本人がえがかれている. おなじ著者が 「日本を降りる若者たち」 という本を書いているが,この本ではより年配のひとをとりあげている. しかし,タイでくらす年配のひとについての本もほかにいろいろあって,この本がどうちがうのかもよくわからない.
評価: ★★★☆☆
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テレビのアナログ放送が終了した. もう,東日本大震災で被災した東北地方をのぞいては,アンテナでアナログ放送を受信することはもはやできない. しかし,わが家でテレビのリモコンの 「アナログ」 を選択すれば,いまも以前と同様の放送画面をうつすことができる. これは,回収されつつあるブラウン管テレビをまだいかすみちがあることをしめしている.
東日本大震災ではおおくの人命や住宅とともに農業,漁業,工業,商業などの施設もうしなわれた. そのおおくはいまも再建されずにいる. 国や県,金融機関などはまだそのおおくをたすけられずにいる. 被災地の金融機関はそれじたいもおおきな被害をだしているから,融資できる金額にも制約がある. そういうなかで,最近注目されいるもののひとつが市民ファンド,あるいは市民ファイナンスだ. ミュージック・セキュリティーズという会社と,それが運営するセキュリテ被災地応援ファンドがあちこちから注目されている.
基本的には古典的なバイオリン協奏曲のひびきだが,そのなかにジャズや,サイの出身国であるトルコの音楽,そしてもっと現代的な要素が融合している. それらはぶつかりあうことなく,うまくとけあっている. サイはおもにピアニストとして活動していて,モーツァルトやハイドンなどの CD をだしているが,作曲家としても注目に値する.
CD: Naïve V 5147, 国内盤
評価: ★★★★☆
これから日本はどうすれば復興することができるのか,65 人もの著名人が書いている. そのなかにはもちろん,光るひとことがあちこちにある. しかし,1 人あたり 6〜8 ページはあまりにすくない. 65 人もの,つっこみの浅いバラバラな意見を読まされても,記憶にのこるものはすくない.
評価: ★★☆☆☆
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数学がきらいになるのは,先生が楽しそうにおしえてくれなかったり,暗記させたりするからだという. それは数学の教師が数学が好きでも得意でもないからなのではないかとかんがえると,くらいきもちになってしまう. この本では教科書や数学教育の退化も指摘されていて,ますます,くらくなってしまう. 著者はそういう問題を解決したいとおもってこの本を書いたのだろうが,解決への道はとおい.
評価: ★★★☆☆
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震災にあった東北がかかえているさまざまな問題がとりあげられている. 岩手や宮城とちがって福島では復興プロジェクトがでてこないこと,震災前から人口がどんどんへっていること,などなど. しかし,この本でとりあげている話題のほとんどは,単なる感想の域をでていないようにおもう. 「震災が起きても変わらない知識人」 を問題視していたりするが,その理由は明確でない. この本が建設的なうごきにむすびつくかどうかは,はなはだ疑問だ.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 「東北」再生@ , 「東北」再生@Amazon.co.jp.
グローバル化から日本の経済・財政,政治の問題点など,さまざまな問題をとりあげている. そのなかで TPP に賛成する議論には 1 章以上のスペースをあてている ― ようにみえるが,実は TPP そのものについてはわずかしか書いていない. どの問題も駆け足で論じているだけで,十分には理解できない. 中途半端な議論にだまされてはいけない.
評価: ★★☆☆☆
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妻子はあそびにいっているが,私は仕事. 夕食もひとりでたべることになって,勤務先の戸塚からちかい中華街にいくことにした. 中華料理というと,以前はひとりでは不利だったが,中華街ではいまやそういう客も相手にしてくれる店がすくなくない. それだけ客がへっているというのと,現在の日本人のニーズにあわせているのと,両方だろう. ビール代もいれて 2000 円で 10 品,そこそこのものがたべられるのは,ありがたい.
前半は 魚住 昭 の 2 つの対談であり,菅首相の舞台裏など,あまり知らない私にはちょっとおもしろいところがある. 後半は新聞などのマスメディアによる政治取材の変化について書いている. ロッキード事件いらいとだえていた特捜検察とマスコミがつるんでの 「巨悪」 追求がリクルート事件以降おかしな方向にむかっていくさまがえがかれている. しかし,もと記者による追求はなまぬるいうえ,インターネットがまったく登場してこないのはどういうわけか. せまい世界にこもっているからダメなのだとおもわざるをえない.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 誰が日本を支配するのか@ , 誰が日本を支配するのか@Amazon.co.jp.
Windows 7 が登場してから,比較的短期間にわが家のパソコンの Windows XP は追放された. しかし,会社では最近まで Windows XP をつかいつづけなければならなかった. 私がつかっているマシンではようやくすべてを Windows 7 におきかえたところだが,(予想されたことではあるが) Windows XP ならおこらなかっただろうトラブルも発生した.
フードコートのようなところで,たべものをえらんで席にもちかえる夢をみた. なにをしゃべったのかはおぼえていないが,黒人の給仕と英語で話をしたことはおぼえている. トレイのうえに皿をつみかさねて,席にもちかえった. ささいな夢だが,こういう夢はあまりみたことがない. まえの日に中華街をしばらくあるいて,ひとりで夕食をとったことと関係があるのだろう.