日本では,国力が低下するなかで東日本大震災をむかえ,世界的にも前例のない津波からの復興と,同様に前例のない原発事故からの復興が必要になっている. これらをつよみにかえなければ日本の復興はありえないだろう. 原発事故からの復興についてかんがえるとき,日本のつよみは原発をすてることからはえられないのではないだろうか? いま福島では世界に例のない事故対策をしている. それをつよみにかえるのは,原発そのものを復興することではないだろうか?
原発をすてるのはひとつの道だ. すべての原発の再稼働をみとめないというのは現実的な方法ではないだろうが,あらたな原発を建設せず,再生可能なエネルギーにかえていくのは有力な案だ. しかし,それはすでにドイツなどがとっている政策のあとおいでしかない. つまり,日本につよみはない. それでも,ドイツなどと競争しつつ,しだいにつよみを確立していくことは可能かもしれない.
しかし,もっとあきらかな道は,いま福島で,そして日本全体でおこなわれているチャレンジをつよみにかえることだ. 原発事故を収束させるためにおこなわれているさまざまなこころみ,たとえば最近でいえば冷却水を循環させるしくみを確立すること,そのほとんどは世界が経験したことがない. 原発をすてれば,そのとたんにこれらの努力もつよみにかえることなく,すててしまうことになる. それははたして日本がとるべき道だろうか?
2011-7-17 追記: 日本においては東芝,日立,三菱などの企業が先端的な原発技術を開発してきた. そして,上記のように他国が経験していない経験もしようとしている. すべての国が原発をすてるのであれば,これらの技術や経験をいかす必要はないだろう. しかし,世界のなかで原発を選択する国はすくなくないだろう. ヨーロッパのなかでもフランスは電力の 8 割を原発に依存し,今後もそれを継続していくだろう. 中国やアフリカも原発に依存せざるをえないだろう. そこに技術や製品を提供していくことは日本の責務であり,利益にもなるのではないだろうか.
注: この項目に書いたことはひとつの試論であって,かならずしもそれを私が信じているということではありません.