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書評:Web とインターネット, Web とインターネット:プロトコルとネットワーク

ネットワーク教科書の「層」 からの距離 ― 層にとらわれていない Peterson & Davie の教科書

最近いろいろコンピュータ・ネットワークの本をあさっているのだが,それは私がネットワーク・プロトコルに関して最近かんがえているのことにちかい内容が書かれているものはないか知りたいということからだ. そのかんがえとは,ひとことでいえば,従来のネットワークの教科書は 「層」 という概念とくに OSI 7 層モデルにとらわれすぎているのではないかということだ.

コンピュータ・ネットワークの教科書として世界的にもっとも有名なのはタネンバウムの 「コンピュータネットワーク」 (Tannenbaum's “Computer Networks, 5th ed.”) だろう. しかし,この本はさまざまな概念をむりやり 「層」 のなかにおしこめている感があり,そこが気にいらない. Ethernet のすべてをリンク層にいれるのは普通のことだが,QoS をネットワーク層にいれる理由はとくにないだろう.

日本語の本は古書なら Amazon で安価に入手できるものがおおいので,かたっぱし,みてみた. その結果,比較的,層にとらわれていない本もあることがわかった. 水野 忠則, 奥田 隆史, 勅使河原 可海, 井手口 哲夫 著 「コンピュータネットワーク概論」 などは,Ethernet や IP を説明するときにそれほど層を意識していないようにみえる. しかし,それでも Ethernet と IP とは章をわけていて,対比的に書いてはいない.

英語の本は比較的高価であり送料もかかるから,買ったものは比較的すくない. しかし,そのなかに Peterson & Davie の “Computer Networks, 5th ed.” というのがある. まだことしの 5 月くらいに出版されたばかりの本だ. この本も第 4 版までは古典的な 「層」 にもとづく構成をとっていたが,この第 5 版は 「層」 にとらわれない構成にかきかえたという. 実際,3 章は Internetworking というタイトルであり,Ethernet などの スイッチング / ブリッジング と IP ルーティングがおなじ章のなかであつかわれている. それらを私がかんがえているようなかたちで対比しているわけではないが,私のかんがえにかなりちかいところまできていることはたしかだ.

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