和文にしろ英文にしろ,文章を書くときには文どうしや段落どうしのつなぎをくふうする必要がある. 私のばあい,おもに英文添削で自分が書いた文章の不備をしてきされるのだが,最近たまたま,文章のかきかたに関する本をいろいろ読んで,つなぎについて書いている部分をいくつかみつけた.
会社 (国分寺) には週 3 回,英文添削を仕事にしている外国人がくる. 私も英文論文を投稿するまえには通常,添削してもらう. そのなかのひとりがいつもいうのは,「つなぎ (connection) がない」 ということだ. 文章には文どうしや段落どうしのつなぎが必要だ. それがうまく表現されていなければ,なおす必要があるというわけだ.
最近,2 つほど理由があって英文および和文の論文のかきかたの本をいろいろあさっているのだが,そのなかにも当然,つなぎの話題がときどき登場する. 小笠原 喜康 の 「論文の書き方」 には,文章には 「つなぎ」 が重要という話も書かれている. それはそのとおりなのだが,文どうしをつなぐのが接続詞だけであるかのように書いているのは不十分だろう.
R. Lewis らによる 「科学者・技術者のための 英語論文の書き方」 という本には,“Paragraph” についての章があり,そのなかに link words についても書かれている. くわしい説明はないが,例文をみると接続詞やおなじ名詞句のくりかえしがつなぎとして機能することがわかる.
これまでのところ,この 「つなぎ」 に関してもっともよく書かれているのは 伊丹 敬之 の 「創造的論文の書き方」 だ. 「たとえば,改行の仕方一つがつながりを生み出す. 一つの接続句,接続詞をはさむだけでつながりが生まれる. 言葉をダブらせたり,小見出しの工夫でもつながりが作れることがある. さらにまったく違うタイプのつなぎの工夫として,文章の書かれる順序,文章の流れ自体がつながりを作り出すこともある.」 ただ,残念なのは,この本には例がまったく登場しないことだ.