シンガポール航空の飛行機のなかで,ドクター中松を紹介するテレビ番組をみた. たぶん,彼がイグ・ノーベル賞をとったときにつくられたものだろう. 日本では彼がどういう仕事や生活をしているかを紹介する番組を (もしかするとあるかもしれないが) みたことがない. なので,興味ぶかくみた.
番組のタイトルは “The Invention of Dr. Nakamats” だ. どこの局でつくったのかみおとしたが,アメリカのテレビ局だろう. 番組のなかで,ドクター中松自身が英語で自己紹介などをしているところがしばしばあるが, それ以外は日本語をしゃべっている. 彼の支持者との会話や,支持者のあつまりでの彼の話などがおもな内容になっている.
最近の発明の事業化もとりあげられているが,あまり彼自身がのぞむ価格で売れてはいないことがわかる. 事業者は中松の価値をみとめているから,なんとか事業化しようとしているのだろうが,価格はおさえたい. というわけで,彼と事業者とのやりとりがちょっとおもしろい.
彼の発明品のひとつは手動の石油ポンプだが,もとは彼が母親のために醤油をうつしかえる目的でつくったのだという. 彼と母親や娘との愛情がえがかれている. 中松の家族やこういう面がみられるのも,この番組のよいところだろう.
もうひとつの彼の有名な発明品はフロッピー・ディスクだ. もはやほとんどつかわれることもなくなってしまったが,この番組にはその 1 号機も登場する. これも,みて損はないだろう.
中松はイグ・ノーベル賞をとったにもかかわらず日本ではあまりみとめられていないようにみえる. 彼の支持者をのぞけば,日本人はこういう,日本の標準からはずれたひとを,なかなかうけいれないのだろう. しかし,こういうユニークな人物をもっとみとめてよいようにおもう. この番組は中松のよいところも,かかえている問題もすなおにとらえていて,よいとおもう.
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