どの分野でもあるとはおもうが,ネットワークの本のなかにも何冊か,イラストが豊富な本がある. これらの本はイラストが論理的に書けていて,しかも比較的安価だ. そこには秘密がある.
井戸 伸彦 著 「新しい情報ネットワーク教科書」 はページの半分以上がイラストでうめつくされた移植のネットワーク教科書だ. イラストはだいぶごちゃごちゃしているのが難点だが,さまざまな情報がもりこまれていて,くふうのあとがみられる. これだけ多数の絵をふくんでいるわりには,2300 円と,比較的やすい. その秘密はやはり著者自身が (たぶん配偶者の手も借りて) イラストを描いているところにあるのだろう. それがイラストが洗練されていない理由でもあるのだろうが,プロのイラストレータにこれだけ多数の絵をかかせたら,本の値段はだいぶあがってしまうのだろう.
もう 1 冊,きたみ りゅうじ 著 「図解でよくわかる ネットワークの重要用語解説」 という本がある. 右側のページはほとんどイラストでうめられている. この本のイラストは情報量はそれほどおおくないが,論理的な内容がうまく表現されていて,かなり洗練された絵だということができる. この本においても著者自身がイラストを描いている. 230 ページをこえる本だが,1780 円だ. この本も,もしプロのイラストレータをつかえば,もっとたかくついただろう.
図がおおければ初級者にとってはよみやすいだろうし,教科書のばあいには,講義につかうのに都合がよいだろうとおもえる. しかし,そのために自分でイラストをかかなければならないとしたら,なかなかつらい. 「重要用語解説」 のようにカッコよくは,なかなかいかない. 単純な論理的な図であれば,もうすこしかんたんに書けるだろうが,それでは読者あるいは学生をひきつけるちからがよわいだろう. それでも敵は大群だから,なかなか書けるものではない. なやましいところだ.