左右にあるエサのうちのどちらをたべればよいかがわからずに餓死する動物 (馬だとおもっていたがロバだという) の寓話が,ときどき,あたまのなかにうかんでいた. 童話作家がつくった話だったのではないかとおもっていたが,しらべてみると (確実ではないが) ビュリダンという哲学者がつくったものだという.
Wikipedia によれば,「おなかを空かせたロバが、左右 2 方向に道が分かれた辻に立っており、双方の道の先には、完全に同じ距離、同じ量の干草が置かれていた場合に、ロバはどちらの道も進まずに餓死してしまう、という意思決定論を論ずる場合に引き合いに出される」 たとえばなしだという. この話が含意しているのは,ほとんど差のない選択肢なら,さいころをふってでもはやくきめるほうがよいということだろう.
Web で 「ビュリダンのロバ」 を検索してみると,おおくのページではこの寓話に関してこれにちかい解釈をとっている. しかし,Wikipedia などによると,ロバがとった,どちらの干草もたべないというのもひとつの選択肢であり,それが最適なこともあるのだという. また,ミネルバのフクロウによると,ライプニッツはこれを善悪の判断の問題としてとらえ,2 つの選択肢がまったくおなじだということはないといっているのだという. いろいろな解釈があってよいが,このライプニッツの解釈はすくなくとも最初にかんがえるべきものではないとおもう. つまり,これは意思決定の問題であって,善悪の問題ではない.