まだ大学にいたころ,情報処理技術者試験をためしにうけたことがある. 当時は 1 種,2 種の 2 とおりしかなくて,そのうちの上位つまり 1 種の試験をうけて,とおった. それ以来この試験もいろいろ変化して,いまではこまごまわかれて,専門的な試験をしている. そのなかにネットワークスペシャリスト試験というのがあって,すこし気になっていた. そこで,すこしまえにどんなものか,古本を買ってみてみた.
通常,本を読んだら感想を Amazon などに投稿しているのだが,今回はそうすると不当な中傷をしてしまうようにもおもえるので,やめておくことにした.
最初に買った本は日経新聞社の 「2009 年度版ネットワークスペシャリスト完全教本」 だ. この本には試験問題はわずかしかでていない. ほとんどのページは技術的な説明にあてられている. 650 ページをこえる厚い本だが,カバーしている範囲は非常にひろい. ネットワーク技術の基礎,レイヤの話からインターネットのプロトコル,コンピュータの基礎知識,通信サービス,LAN,セキュリティ,ネットワークの設計・構築・運用,事例研究まであつかっている.
これだけひろい範囲をあつかうと,いくら 650 ページあっても,それぞれの項目にはわずかなページしかさけない. そのため,単なるつめこみ的な知識になっている. 私はスペシャリスト試験の内容をしらなかったから,こんな勉強がもとめられるような試験とはどのようなものだろうとおもっていた. こんな本を勉強すればうかるような試験であるなら,ろくなものであるはずがない.
そこで,最近,問題集を買ってみた. すると,想像していたのとはまったくちがって,そんな表面的な知識がためされるような問題ではまったくなく,もっと日常の仕事のなかでぶつかりそうな応用的な内容が中心であることがわかった. たしかに,これならスペシャリストの試験として適切なものだろう. この試験で点をとるには,日経の問題集はたいしてやくにたたないにちがいない. 日経はこの本を毎年,更新して売りつづけているようだ. 対策本を買いたいというニーズにこたえてのものなのだろうが,こんな,やくにたちそうもない本をだしつづけているのは不思議だ.