東京駅丸の内からの散歩で,両国南部をあるきまわった. 地図でみると道の方向が周囲とはちがう,ちょっと不思議な地域があり,ちょっと気になった. そこでその近辺をあるいてみたが,そうなっている理由もある程度わかった.
この,ちょっとふしぎな地域というのは,下の地図 (Google マップからのコピー) のように,周囲は道路がほぼ東西および南北にはしっているのに,一部だけななめになっている地域があるということだ. ここは森下交差点のちかくだ. 北からちかづくと,まず五間掘公園という公園がある. なまえからして,堀をうめたててつくった公園であることはあきらかだ.
しかし,ここにもとあったものの痕跡をみつけるのはむずかしい. ようやく,南の端にある公園のなかに,むかしのことが書かれた絵をみつけた (写真参照). そこには,ここ一帯がもとは長慶寺という寺の境内だったことが書かれている.
現在の地図にも 「長慶寺」 というなまえがある. 行ってみると実際には 「長慶寺」 という表示はないのだが,建物や庭は寺の雰囲気だ. 現在は寺ではなくて他の目的でつかわれているのだろうが,文化財としての価値はみとめられているようだ. 現在はすっかり衰退してしまった寺だが,その過程で境内が分割され,その土地のかたちにそって道路がつくられたために,周囲とは角度がちがっているのだろう. かつては堀があり角度のちがう道がつけられているというとおもいだすのは吉原だが,それとはだいぶ事情がちがっているようだ.