現在の日本の健康保険では,健康なひとも病気にかかっているひとも,おなじ保険料をはらうようになっている. 民間の保険ではかんがえられない制度だ. 保険料には差をつけるべきだろう. また,健康を維持・増進しようとしているひとも,健康を害する行為をしているひとも,おなじ保険料をはらうのは不適切ではないだろうか. 健康保険を破綻させないためには,これも改善が必要だろう.
まず,現在の健康状態をある程度は保険料に反映させるべきだろう. 生活習慣病にかかっている,あるいはその予備軍のひとは,健康状態がよいひとよりよけいに保険料をはらうべきだろう. もっとも,健康状態がわるいのが先天的な理由であるばあいには,それを民間の保険とおなじように考慮して保険料に反映させるのは適切でないかもしれない. しかし,健康保険は保険であって福祉政策ではないとかんがえるべきであり,障碍者福祉と同様にかんがえるべきではないだろう. 保険料をはらうひとは自分のためにはらうのであり,福祉目的ではらうわけではない. 世代間格差があると保険料をはらわないひとがふえるのとおなじであり,所得再配分の機能をもたせるべきではないだろう. 保険料をはらうのは義務だから税金と同様にかんがえることも可能だとはおもうが,所得再配分のぶんは保険料でなく税金から支出するのが明晰だろう.
また,現在どれだけ健康維持や増進のために努力をはらっているかは,保険料に反映させるべきだろう. たとえば,コレステロールなどの値が改善されたひとには,改善後の状態からきまる保険料よりひくい保険料ですむようにすることがかんがえられる. いったんおなじ保険料をはらったうえで,努力しているひとには報酬のようなかたちで返却するという方法もかんがえられる.
こうした差をつけるためには,保険料をきめる際に医師の診断が必要だ. 健康保険の査定だけのために診断をうけるとコストがよけいにかかるから,健康診断や人間ドックの際に既定の検査・診断をうけるのがよいだろう. 差をつけるとそこからさまざまな問題も発生してくるが,うまく解決して,健康維持・増進のモティベーションをあげること,あるいはそれができないひとにはよりおおく保険料をはらってもらうことが必要だとかんがえられる.