著者は中国が中国医学を国際標準にしようとしていることをはじめ,漢方にせまるいくつかの危機を感じている. 危機といえば明治になって漢方が西洋医学のかげに追いやられてしまったことが一番の危機だったのだろうが,それでも西洋医学にとりいれられることでいきのびてきたことが書かれている. それが日本における漢方の特徴にもなっているが,弱体化されたことは否定できないだろう.
中国医学には漢方にない弱点があることもたしかだろうが,この本に引用されている文献が中国の 1800 年以上まえの文献であることからしても,中国には勝てないようにおもえる. 著者も 「東アジアの医療が世界に貢献すること」 がおおきな目的だと書いているが,中国や韓国と対立するよりは,協力するなかで日本の漢方の立ち位置を確立していくことが必要なのだろうとおもえる.
評価: ★★★☆☆
注記: honto の 書評 と Amazon.co.jp の 書評 に投稿しています.
キーワード: