著者は人間がロボットにあたえた知能を 「道具知」 とよび,ロボットが自律的に獲得した知能を 「自律知」 とよぶ. AIBO の失敗の原因を自律知でなく道具知をめざしたからだと分析し,著者自身は自律知を追究する. ピアジェの 「シェマ」 という概念にもとづく理論をたて,それを実際にロボットをつくって実験・実証している. この内容は著者の学位論文にもとづいているという.
著者が製作したロボットがどれだけ理論を反映しているのか,この本だけからはわからない. しかし,人工知能だけでなく哲学や心理学にもとづく理論を構築し,それを構成的にたしかめたうえ,それを一般向けにまとめたこの本は価値あるものといえるだろう.
評価: ★★★★☆
注記: Amazon.co.jp の 書評 に投稿しています.
キーワード: