近年 「民主主義」 に挑戦する本が何冊か出版されているが,この本もそのうちのひとつである. 「民主主義」 がつねによいものではなかった (いかがわしいものだったこともある) というのは著者が書いているとおりだろう. しかし,いくらギリシャのポリスやフランス革命の時代にそれがいかがわしかったとしても,それがよいものとされた歴史がつみかさねられた現在では,それに挑戦するには相当な準備が必要だろう.
著者は 「国民主権」 と 「人権」 という民主主義の基本概念に挑戦しているが,それらをくつがえせるほどの論理が用意されてはいない. 本の内容のわりに 「民主主義とは何なのか」 というなまぬるいタイトルをつけているのも,そこからきているかもしれない. お釈迦様のてのひらのちかくをとびまわっている孫悟空といった感じだ. 民主主義はふところがふかいのだ.
評価: ★★☆☆☆
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