著者は,障碍者のように支援を必要としているひとびと (当時者) から自己決定権がうばわれていた, それを回復するたたかいがすでにある程度の成功をおさめてきたということをのべている. つまり,従来は施設や家族など,まわりのひとが決定権をにぎり,当事者はそれにしたがわなければ ならなかった. いまは,駅員なども周囲のひとではなくて当事者の意向をきくように教育されているのだという.
なぜ著者が 「当事者」 ということばをつかわなければならなかったか,その理由はある程度わかる. しかし,「当事者主権」 というのはいかにもわかりにくいことばだ. 「当事者」 ということばにしても,家族や施設のひと,官僚などは当事者ではないのかという 疑問がわく. 実際,この本のなかでも周囲のひとに 「当事者」 ということばをつかっているところがある. 重要な主張であるだけに,ことばをえらんで定着させることが必要であるようにおもう.
評価: ★★★☆☆
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