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書評:メディア・アート・イベント・エンターテイメント, メディア・アート・イベント・エンターテイメント:音楽 (一般)

「闇の音」 をとらえる壮絶な全聾作曲家の自伝 ― 佐村河内 守 著 「交響曲第一番」

はげしい偏頭痛からはじまってはげしい耳鳴りからついには全聾にいたり,精神・神経症にもなやまされた作曲家の自伝だ. 想像を絶するくるしみのなかで,2 回の自殺をはかるが,いきのこった著者は全聾だからこそ 「闇の音」 をとらえ,作曲をめざすという.

きこえなくても楽譜からオーケストラの音を完全に把握できるという著者の才能や,ある施設で出会った少女をはじめとする何人かのひととのきずなが著者をささえている. 耳がきこえない作曲家というとおもいだすのはベートーベンだが,すくなくとも壮絶さにおいては著者のほうがはるかにまさっている. 著者の音楽作品とともに,これもまた,えがたい作品だということができる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 交響曲第一番@Amazon.co.jp

注記: Amazon.co.jp書評 に投稿しています.

2014-2-7 追記: これまで佐村河内が作曲したとされていた曲は 新垣 隆 が作曲したものであることがあきらかにされた. 佐村河内はグラフィック・スコアのようなかたちで新垣に曲の内容を指示していたという. 障碍者手帳はもっているが全聾ではないらしい. ということは,この本の内容はほとんどうそだったということになる.

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