Kindle 本にはロイヤリティ (著者のうけとり分) が 70% のものと 35% のものとがある (アマゾンの 「価格設定」 参照). 70% のときだけ,本の配信コストがそこからひかれることになっている. 日本では配信コストはやすくて 1 MB あたり 1 円だから,これはほとんど無視できる. しかし,アメリカでは 1 MB あたり 0.15 ドルもかかる. だから,写真集のようにファイル・サイズがおおきい本は,もしアメリカでの出版をかんがえているなら値付けに注意をはらう必要がある.
Kindle 本のファイル・サイズは 50 MB まで許容されているが,もし 50 MB の本に 7.5 ドル (現在のレートで 645 円) 未満の値段をつけると,ロイヤルティより配信料のほうがたかくなってしまうことになる. 35% のロイヤリティを選択すれば,そのほうがうけとる金額はおおくなる. そして,7.5 ドルよりはやすい値段をつけることができる. しかし,それでも 10 MB をこえていると 2.99 ドル未満の値段をつけることはできない (アマゾンの 「希望小売価格の要件」 参照).
本を何冊にわけるかをかんがえるときに,あつかいやすさだけでなくてファイル・サイズや値付けを気にしなければならないのはいやだ. しかし,現在のアマゾンではそれらをかんがえざるをえない. とくに,分割しても 10 MB よりちいさくならないファイルのばあいは,あわせて 50 MB 未満であれば値段の下限はいずれにしても 2.99 ドルなので,やすい値段をつけたければ分割しないほうがよいことになる.
このへんはアマゾンのポリシーがかわるとそれに対応して本のわけかたもかえなければならないことになるだろう. 私としては,あとで本のつくりをかえなくてもよいように,分割のしかたも,写真などのサイズも,かんがえておきたい. しかし,予測できないことはいくらでもおこりうる. 電子書籍というものじたいが未完成なものなので,しかたがない.