現代の 「会社」 をとりまく状況,「ポスト産業資本主義」 を分析して,グローバル化,IT 革命,金融革命が主要な要因だといっている. この状況のなかではおかねのちからはよわまり,情報で差別化をはかること,つまりコア・コンピタンスを確立すること,いいかえると知識資産を蓄積することが重要になる. というのがこの本の主旨であり,とくに前半の分析は著者ならではのものなのだろう.
しかし,話がコア・コンピタンスや知識資産のことになるとすでに多数のすぐれた本があるのに対して,著者の主張は経営的な知識に限定され,かつ弱い. 最後に 「日本の社会が,リスクをとって自ら会社をおこす気概をもつ個人を,これからどれだけ輩出していくことができるか」 が重要だとのべているが,それをささえることができる議論はここにはない.
評価: ★★★☆☆
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